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米半導体最大手『インテル』が先兵を務める“中国締め出し”作戦

 パソコンを購入するときに CPU(頭脳)の欄を見ると『インテル』(Intel)という企業名を目にする。インテル(本社・米カリフォルニア州) は世界最大シェアを誇る半導体メーカーで、そのため販売されているパソコンの多くにインテル製品が使われている。

 「インテル入ってる」というパソコンのCMは、「インテルが作ったCPUがパソコンに入っていますよ」ということを訴えているわけだ。実はこのインテル、イスラエルに「出て」長い。

 昨年7月3日、インテルは、イスラエルに対し90億ドル(約1兆円)の投資を検討していると、同国のコーヘン経済相が明らかにしている。同社は1974年以来イスラエルに350億ドル(約3兆9000億円)を投下し、半導体などハイテク製品の部品を製造し供給を続けてきた。半世紀分の4分の1を一挙に投じる理由は中国封じだ。

 「インテルの最初のイスラエル拠点はハイファに置かれ、わずか5名の開発研究要員でスタートを切っています。その後、エルサレムならびに同市南西のキリヤットガット(砂漠の真ん中)に主力工場を設立し、CPU、フラッシュメモリーなど最先端部品を生産してきました。17年には、自動運転用の半導体開発などを手掛けるイスラエルのモービルアイ社を153億ドル(約1兆7000億円)で買収し、同国における事業展開をさらに加速させています。すでにイスラエル国内で、1万2000人を雇用しており、そのうち7000人が技術開発部門、4000人が製造部門に従事し、モービルアイ社でも1000人余が勤めています。イスラエル北部のハイテククラスターは、第2のシリコンバレー、または中東のシリコンバレーとも呼ばれており、大手ハイテク企業が集積するだけでなく、スタートアップ企業も数多い。つまりはベンチャー輩出でも同国は群を抜いているのです」(ITジャーナリスト)

 かくしてインテルのイスラエルへの貢献は大きく、軍事大国にして、軍事汎用技術でも米ソと並ぶ次世代ハイテク技術開発でも優位性を維持している。特に日本とはハッカー防御技術、暗号解読その他での技術協力が盛んだ。

 「アメリカは日米経済摩擦のときに次世代半導体技術を日本の頭越しに韓国へ供与しました。このためサムスンやLGなどが飛躍したわけですが、今度はファーウェイやZTE(中興通訊)の猛追によって、戦略を切り替え、軍事同盟国イスラエルとの協同によって中国を封じ込めるという流れになっていくのではないでしょうか」(国際ジャーナリスト)

 昨年春先にインテルはZTEへの半導体供給をストップしたため、同社はスマホを製造できなくなって悲鳴を上げた。米国はイスラエル、インテルと組み中国を締め上げる気だ。

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