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認可取り消し続出! 太陽光発電お粗末狂乱バブル

 672件。この数字が2月15日の新聞各紙に躍った。再生可能エネルギーで発電した電力を買い取る固定価格買い取り制度がスタートしたのは、2012年7月である。これを機に再生エネの主役として期待された太陽光発電は「業者の言い分を丸呑みして1kW42円のバカ高い価格を設定した」(関係者)ことから“黄金の島・ジャパン”と揶揄され、国内外の業者が殺到した。ところが経済産業省から認定を受けたにもかかわらず、後述する理由などから発電に着手しない業者が続出、たまりかねた同省は昨年夏から実態調査に乗り出した。その結果を踏まえ、各紙は「672件、取り消し」と一斉に報じたのである。
 これは初年度に当たる'12年度中に認可を受けた4699件のうち、パネル設置場所や発電設備を全く確保していないとか、調査に回答しなかったケースで、全体の14.3%を占める。経産省は3月末での取り消しに向け、既に手続きに入っている。しかし、にわかバブルの実態はもっと奥深い。

 経産省が調査した時点で419件(8.9%)が太陽光パネルの設置を断念していた。42円という高値での“発電権利”を取得しておきながら、早々にギブアップしたことを意味するが、問題はこれを第三者に高値で売却すべくブローカーが暗躍していることだ。
 「初年度に42円の権利を取得してしまえば、いつ発電を始めても20年間にわたって高値買い取りが約束される。この仕組みを逆手に取ろうとする輩が群がるわけです。粗悪な海外パネルが普及するのを待って着手すればボロ儲けできるのがミソ。去年の4月からは38円の買い取り価格に見直されましたが、メガソーラーを建設しても12〜13年で投資マネーが十分回収できる計算のため、一獲千金を狙う業者が後を絶たないのです」(メガバンク融資担当者)

 あらためて経産省の調査を見てみよう。断念、土地と設備の未決定に続いて「場所、設備の一方だけ決定している」との回答が971件あった。正直に答えたケースがあったにせよ、もし「土地は何とか確保できたが、太陽光バブルの影響でパネルの調達が間に合わない」と釈明すれば時間稼ぎができる。だからこそ同省は、納入遅れの理由や着工予定日を確認するなど詰めの調査を進めてきた。とはいえ、強制権を伴わない以上、自主申告を尊重せざるを得ないのが実情だ。
 そこで“グレー”の烙印を押したこの971件に対しては8月末までの準備完了を要請、遅れた場合は9月にも認定を取り消すなど、これまでにない強い姿勢を打ち出した。

 結果、実態調査で「特に問題なし」と結論付けたのは2637件(全体の56%)、発電出力にして504万kW(同38%)にすぎない。ところが国内の大手パネル関係者は、公表された数字に疑問を呈す。
 「土地取得で手付け金を打っただけとか、抜け穴だらけの賃貸契約を結んで口裏を合わせてしまえば役所は簡単に見抜けません。だからこそ、世界最高水準の買い取り価格に舌なめずりした中国や欧米のパネルメーカーが巧妙な罠を仕掛け、短期決戦を挑んでいる。その口車に乗った業者が役所の調査に対し、バカ正直に答えるわけがなく、かねて『まともな案件は全体の1割程度じゃないか』と囁かれてきたのも決してオーバーではないのです」

 調査ウンヌン以前に、再生エネの買い取り制度を推進した経産省の大きなミスは、もはや取り返しがつかない。土地や設備が不十分でも銀行融資が受けられるよう認可を与えることを優先するあまり、発電開始の時期を制限しなかったことだ。金儲けに目がない面々が、役所の甘い対応を逆手に取らないわけがない。
 とはいえ再生エネの95%は太陽光が占めている。そこに魑魅魍魎が跋扈していることが明らかになった以上、今回の調査結果は原発を巡る推進派と反原発派の綱引きに影響しそうだ。平たくいえば「東電をはじめ電力各社はニンマリ。小泉純一郎元総理に代表される即時撤廃派はガックリ」の図式だ。立場が微妙なのは双方の監督をつかさどる経産省である。
 「経産省は太陽光の買い取り価格を段階的に引き下げ、風力や地熱などを育てたいと思っている。しかし、これらが再生エネの主役に躍り出ることなどドダイ無理な話で、現実には太陽光に頼らざるを得ない。といって『原発再稼動』を唱えれば、反対派から非難を浴びる。保身に長けた首脳陣は銭ゲバ“誘致”の責任を棚上げして『困ったことになった』と頭を抱えています」(経産省OB)

 原発に裏切られたのもつかの間、今度は太陽光が馬脚を現した。どっちもどっち−−。
 国民は悩ましい問題を突きつけられている。

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