「たとえば、いつもの頭痛と痛みが違うとか、背中に痛みを感じるとか、普段の二日酔いとの“違い”に気づくことが非常に大事なんです。体に違和感があったら、少しでも早く医院で診察を受けてほしい」
理由を聞くと、飲み過ぎの翌日、吐き気や胸のムカムカ感がある人で、胸とか背中あたりに痛みがある場合「すい臓」を調べる必要があるという。また、体重が3カ月で5キロ近く減った場合、糖尿病、消化器のがんなども疑われる。自己判断をせず、必ず専門医の診断を仰ぐべきと話す。
特にすい臓炎は、急性と慢性があり、急性すい炎ならすい臓が溶け、重症だと死に至る。また慢性すい炎も早く治療しないと、同じようにすい臓が荒廃、糖尿病を悪化させ、すい臓がんのリスクを高める。また背中の痛みも、「何となく痛い。違和感がある」場合も、「消化器系に異常が発生していることが考えられる」(専門医)という。
他に、あまり知られていないのが脳出血だ。ビール一杯程度だと自律神経のバランスが改善され、血圧も正常化するが、二日酔いになるほどの飲酒をすると、まるっきり逆。血圧も上下の値が上昇、血管に傷害を与えるほか、血管がけい攣を起こし脳出血に繋がる。まさに死に至る危険性をはらんでいる。
こうして見ると「たかが二日酔い」と強がってはいられない。そこで、「今夜も、もう一杯」という呑み助のために、“二日酔いの対処法”をお伝えしよう。
健康ジャーナリストの深見武三氏が、これまでの取材データを基に話す。
「相当量の酒を飲んだ人の体は、アルコールが全身を駆け巡り、体温が上昇して“脱水状態”になっていることを自覚しましょう。お燗した日本酒は特にこの状態に陥りやすいですが、ビールもウイスキーも結果は同じ。そこで、とにかく水を飲む。これを心がけることです」
水は、血中のアルコール濃度を薄める効果がある。また、肝臓でのアルコール分解には糖分が必要で、スポーツドリンクなど少量の糖分を含んだ飲み物が有効だという。
「水分補給の際、水もいいですが、糖分を同時に摂ることを医者も勧めています。帰宅途中でもいいですが、就寝前に飲むのが“翌朝に残さない”効果があります。もっとも、これらをやり通せるぐらいの理性があればですが…」(同)
二日酔いは、急性アルコール中毒とは違い、直接の危険は少ないものの、洋の東西を問わず、古くからの悩ましき“宿酔い”か。