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『はれのひ』夜逃げ事件が拍車をかける着物文化の衰退

 1月8日、お祝いムード漂う成人式当日の前代未聞の“夜逃げ事件”は、日本伝統の着物文化の衰退に、一層の拍車をかけそうだ。
 「振袖のレンタル・販売事業を主体に展開していた『はれのひ(株)』は、全国に5店舗の直営店『はれのひ』を出店。成人式当日に着付けやレンタルを予約していた顧客が期待を胸に予約時間に店舗を訪れると、店舗は閉鎖され、業者が直前に夜逃げしていたことが発覚しました。『はれのひ』に着付けを頼んでいた利用者は数百人に上り、振袖を着ることができず、式に参加できなかった被害者が続出。店舗のあった横浜市では、被害を受けた新成人を対象に式のやり直しを検討する異例の事態となってしまったのです」(全国紙社会部記者)

 『はれのひ』は店舗出店で家賃や人件費が重荷となり、資金繰りが悪化。昨年から複数の取引先や社員への給与が支払われず、内情は火の車だったようだ。
 「着物の一番の需要期である成人式に営業を停止したことで、計画倒産や詐欺の疑いが持たれています。呉服販売業界が抱える問題として、割賦販売法改正による売り上げ減の影響もあります」(同)

 2006年9月、全国500店舗を展開していた呉服販売チェーン『たけうちグループ』(京都市)の倒産を機に、割賦販売法が改正された。かつては支払い能力の低い高齢者や若年層を中心に、高額な呉服や宝飾品をクレジットや割賦払いで強引に売りつける手法が横行していたのだが、同法が改正されたことによりクーリングオフ制度の普及や過量販売が是正され、高価格帯の呉服や宝飾品の販売が大幅に落ち込むようになった。
 「呉服は在庫になるので、売れなければキャッシュフローが悪化する。市場が縮小する中、フォトスタジオや衣装レンタル業者からの新規参入もあって、競合が激化しているのです」(大手呉服販売業者)

 呉服は値段があってないようなモノともいわれる。和装人気も下火となり、着物の着付け講師の高齢化も進んでいる昨今、今回の事件を起こした『はれのひ』幹部の責任は重い。

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