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セアカゴケグモ関東上陸も厚労省の“後手”

 1995年に大阪府で発見され、関西以西に生息していたセアカゴケグモ(アカゴケ)が、いよいよ関東に広がる気配だ。今年9月、神奈川県大和市で発見されたのに続き、11月には同じ神奈川県の川崎市でも発見された。

 アカゴケの体長は約2センチ、全体に黒く、背に赤色の帯状の模様があるのが特徴。毒はメスだけにあり、繁殖力も強いため、一度見つかると一気に広がる可能性も指摘されている。ちなみに無毒なオスはメスより小さく約1センチだ。
 「かまれると痛く、人によっては腫れたり、しびれたり、発汗したりという全身症状が現れることもある。個人的な免疫の程度によっては、重症化し死亡するケースもあるんです。日本での死亡例は、まだありませんが、今年の9月に福岡でかまれた83歳の女性は『呼吸障害』の重症と報告されています」(国立感染症研究所)

 しかし、厄介な行政上の問題が、医療の現場に横たわっているという。
 もし重症化した場合、「血清」による治療しかないが、何とその「血清」は日本でまだ承認されていない状況なのだ。
 「重症者を出した福岡の市長は11月、国の血清配備を厚労省に要望しました。ところが厚労省は『日本での有効性・安全性・品質が確認されていない薬』として、国が直接備蓄することは難しいと福岡市長に回答したのです。いわゆるドラッグ・ラグ(世界的に標準使用されているにもかかわらず、日本で承認を得られていない薬)問題ですね」(福岡市政担当記者)

 もしかまれたら水で洗って冷やし、医療機関に行くことだが、血清が病院に備蓄されていない場合は、医師が個人的にゴケグモの生息地であるオーストラリアから輸入する以外にないわけだ。
 とにかく、触らぬクモに“たたり”なしだ。

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