『美しい隣人』第9話、ダメ夫の渡部篤郎と壊れる妻の檀れい

トレンド 2011年03月11日 08時00分

 フジテレビ系ドラマ『美しい隣人』第9話「零れたミルク」が3月8日に放送された。『美しい隣人』は幸せな家庭が美しい隣人によって崩壊させられるサスペンスであるが、今回は沙希(仲間由紀恵)が駿(青山和也)を連れ去るという一線を越えた行動で幕を開けた。このまま沙希の暴走が予想されたものの、意外にもあっさりと解決した。しかし、沙希が暗躍を止めても、家族は自壊していく。「覆水盆に返らず」を連想させるタイトル通りの展開であった。

 まず夫の慎二(渡部篤郎)がダメ人間である。「やり直そう、何でもするから」と言いながら、妻が受け入れなければ切れてしまう。子どもの誘拐の警察への訴えを妻に一人で行かせている。会社では海外赴任の話が白紙になる。それも慕われていた部下・真下亜美(藤井美菜)に密告されたような描写になっている。

 渡部篤郎はテレビドラマ『白夜行』ではヒモ的なクズ男・松浦勇を演じていた。映画『重力ピエロ』では病的で自己中心主義的な犯罪者・葛城由紀夫を演じた。『美しい隣人』では冒頭の優しいパパのメッキがはがれたダメ夫を好演している。

 息子の駿も不気味である。タイトルの「零れたミルク」は直接的には駿が何度もコップに入れられた牛乳をこぼしてしまうことを指している。沙希は連れ去った駿に「ママは本当のママじゃない」と吹き込む。普通の子どもは「嘘だ」と反論しそうであるが、駿は「そうなの」と平常心で応じている。この息子の反応が絵里子(檀れい)の崩壊のトリガーになった。

 一番の注目は妻の絵里子(檀れい)の崩壊である。穏やかで幸福そうな主婦が様変わりした。沙希への恐怖と怒りに常に支配され、慎二を激しく責め立てる。夫は許せないが、沙希の思うツボになりたくないとの意地から表面的には幸せな家族を演じ続ける。そして息子の言葉に発狂した絵里子は物凄い形相で醤油瓶を投げつけ、家を飛び出す。

 これまで『美しい隣人』は仲間由紀恵のミステリアスな演技に支えられてきたと言っても過言ではない。ところが、その仲間の登場シーンは今回、減少してしまった。その穴を檀れいが見事に埋めた。「自分と絵里子が同じ」という沙希の言葉を裏付けるような壊れ方である。次回は遂に最終回「勝つ女」である。どちらが勝つのか、結末に目が離せない。
(林田力)

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