名付けて『バスソルト』。小麦粉のような白いパウダーで一見、入浴剤のように見えるが、吸引すると発狂し、殺人や傷害事件を起こす事件が相次いでいるのだ。
米国・マイアミでは今年5月、この薬物を吸引したルディ・ユージン容疑者がホームレス男性を襲い、顔の4分の3を食いちぎる事件を起こし射殺された。
また、同メリーランド州では、同居人を殺害した男が心臓や脳を食べたという。そんな危なすぎる違法薬物が日本にも上陸し、ジワジワと広がり始めているのだ。
捜査関係者がこう語る。
「日本では『メリーちゃん』という名がついており、今年初め頃に広島から広がり始めた。クスリが効き始める一過性の毒性は、通常の覚せい剤の1.5倍。つまり、発狂するわけですよ。攻撃的な性格と弱気なモードを繰り返すのが特徴です。少量で効くので、手を出す人が後を絶たない」
厚労省関係者もこう話す。
「バスソルトの成分はこのほど厚労省が麻薬指定したMDPVという化学物質です。問題はこの物質が乾燥させた植物と化学物質を混ぜ合わせる脱法ハーブにも入っている恐れがあること。脱法ハーブはいまだに何が入っているか、厚労省も調べが進んでいないんですよ。もし、バスソルトの成分が入っていれば、脱法ハーブを吸って発狂する人が現れても不思議ではない」
ちなみに、世間では脱法ハーブを軽視する向きも多い。たとえば、脱法ハーブに入っている合成カンナビノイドは、医薬品として開発されながら認められなかった経緯を持つが、その毒性は大麻よりも強い。それが法の目をくぐり抜けて蔓延しているのだ。
今のところ、バスソルトの成分が入った脱法ハーブは見つかっていないが、不幸にも吸引したらアウトだ。