落札したモンゴル系企業アヴァール・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー(以下ア社)の採算度外視、無謀投資は明らかで、この競売問題がいかに異様であるかを物語っている。
「今回の競売ではもう1件入札があったが、下限の金額に達していません。つまり、今回の再入札に際しては競争入札ではなく、事実上ア社の“随意契約”になりそうな気配です」(全国紙社会部記者)
ア社とは一体何者なのか。
「事業目的は不動産業とは関連性の薄い『ビジネスコンサルタント』。ファンド管理会社でもあることから推察されるのは“投資家”がいるということだろう。今回の入札結果に対して許宗萬(ホ・ジョンマン)総連議長が上機嫌であることから、朝鮮総連や北朝鮮の意向が強く反映されているとみて間違いない」(公安関係者)
拉致問題の解決を急ぐ安倍政権の動きがこれに絡む。安倍首相は今年3月にモンゴルを訪問し、古屋圭司拉致問題担当相も7月に訪問、その返礼として9月にモンゴルからアルタンホヤグ首相が来日し、再入札直近の9月末にはエルベグドルジ大統領が来日している。この際、安倍首相は、大統領を東京・富ヶ谷の私邸に招いている。
「こうした一連の動きを見ると、ビル売却問題と拉致問題解決が密接にリンクしているとみていいのではないか」(同・関係者)
前回落札した鹿児島県の宗教法人最福寺は、資金を調達できず購入を断念した。ア社は果たして、期限内に代金を納付できるのか。
「ア社の背後にいる金主は、同ビルへの投資資金が回収できない物件であることから考えると、日本の金融機関やゼネコンとは考えにくい。“ファンドマネジャー”は朝鮮半島とゆかりのある個人、あるいは企業が複数関与していると考えるのが自然だ」(同)
“北朝鮮大使館”の負債を、拉致被害者との交換でチャラにするとしたら、国民は納得できるだろうか。