昨17日夜からけさ18日にかけてテレビやラジオ番組をはしご出演した北島は、一貫して「まだ引退とは言っていない」と強調した。キャスターの質問には「ゆっくり考えさせてくださいよ〜」と拙速な決断を避けたい本音を漏らした。
17日に北京市内の「ジャパンハウス」で行われたメダリスト会見では、今後の活動について「いま(五輪が)終わったばかり。ゆっくりして気持ちも落ち着いてから考えたい。日本では引退と騒がれているみたいだが、ひとことも僕は言っていない。何でだろうという感じ」と引退報道を否定。「ちょっとみなさんの報道は早すぎる」と先行するメディアをいさめる場面もあった。「五輪は常に最後だと思って戦っている」とも述べた。
北島が保持する世界記録にはまだ伸びしろがある。「蛙王」として限界にチャレンジしたい気持ちが芽生えても不思議はない。仮に引退しても、指導者にも研究者にも向いていない。かねて本人も認めている。「世界の北島」となったいま、スポンサーやマネジメント会社など水泳以外の関係者も多く、自分の意思だけで最終結論を出せない状況にある。
メドレーリレーでメダルを手繰り寄せたのは第2泳者の北島だ。背泳の宮下純一から4位でタッチを受けると、大きな泳ぎでぐいぐい順位を押し上げ、ライバルのハンセン(米国)を抜き去ってトップでバタフライの藤井拓郎にバトン。最終泳者のクロール佐藤久佳が北島の貯金を守って日本新記録で逃げ切った。佐藤は号泣。北島は「なんとしてもメダルが欲しかった」と声を裏返して、後輩の健闘をたたえた。
北島に続くエース不在のなか、引退を決めるのは抵抗があるだろう。もう少し、競泳ニッポンを引っ張っていってほしいものだ。