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「注射が怖い」なんて言ってはいけない! たった1回の採血でわかる病気の中身(1)

 そろそろ会社の定期検診の結果が出て、今後のケアを考えている頃だろうか。検診では採血は不可欠で、「針が痛そうで苦手」と腰が引けてしまう人もいるが、たった採血1本(5cc)で2000項目にもわたる病気が突き止められる。胃や腸などの臓器機能をチェックし、肝炎や梅毒などの病気がないかどうか、貧血や初期のがんまで判別できる。もはや「注射が怖い」なんぞと言っている場合ではない。
 私たちの体には、体重のおよそ8%にあたる血液が流れている。体重が65キロなら、約5.2リットルだ。そのうち赤血球なら1%、血小板ならおよそ10%が毎日作り替えられるというから、検査に使うための採血量なら通常、貧血になる可能性は少ない。

 さいたま市の循環器系専門クリニックの医師は「採血でわかるのですが、血液の成分は健康のときは安定しており、ほぼ一定の範囲内に保たれています。しかし、病的状態になるとそうした成分に変化が生じて、通常では見られないはずの成分が出現するのです」と説明する。
 つまり採血検査では、変化した血液成分を調べれば、病気の診断や病気になりやすい“素地”を把握できる。さらに、治療を行うときの効果を判定する指針にもなり、薬物療法を行う際の副作用までチェックすることができてしまうのだ。
 中には、早期がんを発見できる検査法のAICS(アミノインデックスがんリスクスクリーニング)というものもある。これも、同じシステムの血液検査で判定する。東京・築地のがんセンターや三井記念総合健診センターなどの病院で行っており、大きな成果を上げている。

 「この検査による最大のメリットは2つあります」
 そう言うのは、医療ジャーナリスト・深見慎二氏だ。
 「このAICSについて大手総合病院で取材したのですが、1回の血液検査(5cc)で複数のがんについて調べることができるのが特徴の一つですね。今の段階では胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、それに乳がんなど婦人科系のがんなどを対象にやっています。実は私も体験しました。肝機能が心配で検診を受けたのですが、幸いがんにつながる要素はなくホッとしました。ですが、腎臓の働きが弱っていると言われ、注意しないと大ごとの病気につながる、と言われまして…」

 深見氏はこう言って、苦笑いを浮かべた。ただ、胃の検査にしても、以前は人間ドックでバリウムを飲まされたが、採血のみの楽な検査で済んで驚いたという。
 「いずれにしても検査でわかるのは、将来的にがんを発症する可能性が高いかどうか、従来の検査法では発見できないレベルのがんがあるかどうか、などです。さらに悪性か良性かの判断がつきにくいものまで発見できるというのですから、医学の進歩の素晴らしさを改めて感じましたね」(深見氏)

 そうはいっても「何年以内に発症するリスクは何%」まではわからない。だが、喫煙者やアルコール、塩辛い料理好きという人で胃や肺、大腸などにリスクを抱えている人は、こうした採血による健診を受けることを勧めたい、と深見さんは言う。

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