その母親で殺人罪に問われた下村早苗被告(24)の裁判員裁判の第6回公判が3月12日、大阪地裁であった。
検察側は「唯一、頼れる存在の母親に見捨てられた2児の孤独、絶望は筆舌に尽くしがたく、極めて残虐、残酷な犯行。他に類を見ない凄惨な事件だ」として無期懲役を求刑。弁護側は被告に殺意はなく、保護責任者遺棄致死罪にとどまると主張して結審した。判決は16日。
下村被告は同年6月9日、部屋の扉に粘着テープを貼って閉じ込めた状態で外出。約50日間、友人らと遊び回って帰宅せず、2児は同月下旬に餓死した。それ以前にも、1週間〜10日間放置し、2児は衰弱しており、検察側は殺意が認められると主張。
3月7日の被告人質問では、下村被告が遺体発見後、すぐに警察には通報せず、 知人男性に連絡し、一緒にドライブに出かけた上、 性交渉まで行ったことが明らかになった。
一方、弁護側は最終弁論で、「子どものことは頭にあったが、被告は幼い頃に受けた育児放棄などが影響し、恐怖を無意識に避ける特殊な心理状態にあって、死ぬことに意識がはたらかなかった」と殺意を否定した。下村被告自身も「殺すつもりはなかった」と殺意を否認している。
一般論として、まだ自分で何もできない3歳と1歳の幼子が、部屋に約50日間も閉じ込められて、生き延びられるわけがない。弁護側の「殺意はなかった」との主張が、果たして認められるのだろうか。
(蔵元英二)