この反攻によって北朝鮮は国家壊滅の危機に追い込まれる。これに対して、米国との直接対決を回避したかったソ連は北朝鮮を積極的には支援せず、結局同年10月末、中国が志願兵を装った朝鮮系中国人部隊を派遣して戦争に介入したことで、北朝鮮は何とか国家存亡の危機を脱した。“中国兵”の死者は北朝鮮兵を上回っている。
53年7月の朝鮮戦争休戦後、北朝鮮の戦後復興に際しては、ソ連48.8%、中国30.9%、東欧20.3%の割合で、総額5億5000万ドルの直接無償援助が行われたとされている。
ベトナムの首都ハノイで米朝首脳会談が開かれた折でもあり、前置きは長くなったが、58年3月、北朝鮮は、援助してくれたソ連をヨイショするため、国際地球観測年の記念切手を発行、地球の周りを周回するソ連のスプートニク1号を取り上げた切手を発行している。このように北朝鮮の切手は政治なメッセージ性が強い。
朝鮮戦争以来、北朝鮮は「反米」をテーゼとしてきたこともあり、6月25日の朝鮮戦争開始から7月27日までを反米共闘月間とし、さまざまな群衆集会を開いて反米切手を発行してきた。
「北朝鮮の反米切手は52年6月4日に初めて発行されたのを皮切りに、昨年6月25日まで66年間で合計62種が発行されています。特に核・ミサイル試験で米朝間の対立が最高潮に達していた15〜18年には4年連続で露骨な非難文と図案が入った反米切手が発行されています。北朝鮮は昨年4種の反米切手を発行しましたが、1回目の米朝首脳会談の雰囲気が醸成され出すと販売を中止しました。そして今年は、当初の切手発行計画から反米切手をやめると公表しました」(北朝鮮ウオッチャー)
代わって登場するのが反日関連切手だ。南北協調での反日には困ったものだが、ここは黙殺するしかない。まあ、2回目の米朝首脳会談記念切手を発行するかどうかに注目しよう。