オウム真理教の解散後の動向に詳しい宗教関係者がこう語る。
「今、アレフは二つの大きな問題を抱えています。一つは松本元死刑囚の遺骨の帰属問題。もう一つは、一連のオウム事件の被害者に対する賠償の履行責任です。この二つの問題に近々、新たな展開が予想され、その結果次第で、内部での対立が激化しそうなんです」
松本元死刑囚の遺骨を巡っては、本人が後事を託したとされる四女と、それ以外の遺族の対立が伝えられているが、先頃、四女側が遺骨の引き渡しを求めて東京家裁に審判を申し立てていたことが明らかになった。早ければこの秋にも審判が下され、四女側の主張が認められる可能性が極めて高いという。
「遺骨はアレフにとって、今でも信仰のよりどころ。これを失うということは、内部分裂につながりかねません」(元信者)
オウム事件の被害者に対する賠償問題も、未払い金の支払いを命じる判決にアレフは控訴している。
「問題は、この二つの判断のタイミング。控訴審でも支払い命令が出され、遺骨の帰属も四女となれば、アレフは一定数の信者を維持したまま、おそらく地下に潜るでしょう。その場合、地下に潜ることを拒否したグループが分派して別団体を立てるか、あるいは先に分派した『山田らの集団』へ合流することも考えられる」(前出・宗教関係者)
一方、アレフとの違いを積極的にアピールしている「ひかりの輪」は、アレフが地下に潜ると損害賠償の負担が増大し、こちらも組織の存続にかかわる。
「双方、オウムの事件を知らない若い世代を中心に新たな信者を増やしているが、司法の判断次第で組織が大変貌する恐れがある」(同)
令和になってもオウムの悪夢は続くのか。