都知事選について、当初石原氏は本気で出馬をする気はなかった。
しかし、石原氏の後継とされていた元神奈川県知事の松沢成文氏では、勝率が5分5分。
そこで石原氏は引退を急きょ取りやめ、3月11日に出馬表明をした。
出馬表明をした直後に、東日本大震災がおこった。
日本中が大混乱におちいっている中、東京都知事選は行なわれ、当たり前のように石原慎太郎氏が圧勝した。
その理由を大手新聞記者に聞いてみた。
「まず石原さんは選挙ということをよく知っている人です。これまで石原さんは問題発言ともとれる発言をしてきましたが、これらはすべて選挙に行く人たちに、強く訴える発言であり、実に老獪です」
【選挙に行く人たちに、強く訴える発言】とは。
・漫画・アニメの『非実在青少年条例』
・東日本大震災への『天罰』発言
・『原発推進』発言
・『ハイパーレスキュー隊への涙の感謝』
などは、【選挙に行く人】つまり東京都民、つまり50歳以上の熟年層に訴える発言だという。
【選挙に行く人たちに、強く訴える発言】は、他にもあり、
・自動販売機規制
・パチンコ規制
・蓮舫節電啓発担当相への一喝
などがあげられる。
漫画やアニメの規制は、それらを観たり読んだりしない50歳以上の投票者の多くが思っていることであり、親世代にとっても、我が子に読ませたくない漫画やアニメを権力で規制することに異存がない人も多い。
『ハイパーレスキュー隊への涙の感謝』は、国のために特攻していった人たちへ涙を流して感謝、という胸を打つ行為である。その他にも、自動販売機は必ずしも社会生活に必要ではなく、パチンコもまたどこか「社会悪」的に見ている人が多い。
そして蓮舫節電啓発担当相は、事業仕分けのエースであり、『スーパー堤防などいらない』と言った後、実際に震災が起きてしまっただけに、国民から槍玉にあげられている。
また、現政権の民主党への風当たりの強さも石原氏の追い風になった。東京都以外でも、統一地方選では、自民圧勝、民主大敗北という結果に終わっている。
大手新聞記者は言葉を続ける。
「若い人の中には石原さんのことを【老害】と言う人もいますが、彼を【老害】とけなす人の多くは、選挙に行かない人たちです。よって石原さんのような選挙に強い政治家にしてみれば【相手にしなくてもいい人たち】でもあるんです」
若い人ほど選挙には行かない傾向がある。
つまり当選したい政治家にとって、若者に訴えるより実際に投票に行く人に訴えたほうが有利。
これらが石原慎太郎氏が都知事選で圧勝した理由のようだ。
(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)