「これも、経費節減の一環なんでしょうけど…」
某スカウトは溜息混じりにそう言う。
なぜ、「一緒にメシを食う相手がいない」ことが『悲鳴』なのかと言えば、球団側から厳しいお達しが出たからである。
これから、センバツ大会が始まる。スカウトたちにすれば、ドラフト候補選手の目星はすでに付けているが、見落とした『金の卵』がいるかもしれない。その意味では甲子園入りは重要な任務であり、『関係者』との会食は情報収集に欠かせないものとなる。しかし、ガセネタを掴まされることはもちろん、一緒に食事をしたからと言って、お目当ての選手を一本釣りできるとは限らないのが実状だ。
ある意味、スカウトの仕事とは『無駄の積み重ね』が重要とも言えるが、ドラフト指名に直接結びつかない会食は、「今後、一切認めない」というお達しが出されたのだ。
「ここだけの話、情報収集を大義名分に『食事代の経費』で息抜きをさせてもらっていたこともありました。これからは場末のビジネスホテルでサービスメニューを食べるか、ドラフト候補選手に直結する学校関係者と会食するかの2つに1つしかない…」(某スカウトマン)
念のために断っておくが、学生野球憲章ではプロ野球関係者との食事は禁止されている。スカウトの言う学校関係者とは、例え話にすぎない。前述の「メシの相手を探す」発言は、そうでもしないと、旨い郷土料理も食べられないという意味だ。
「一般論として、スカウトの経費というのは説明しにくいものが多いんです。オープンにすれば、他球団にその動きを教えることにもなりかねないし、逆指名制による裏金がはびこっていた時代なんか、一般企業では考えられないような金額が『使途不明金』として処理されていました」(同)
言い換えれば、スカウト活動に掛かる会社経費(球団)は、税務署に目をつけられないということである。
某メディア陣によれば、某球団が菊池雄星の偵察にあたって、宮崎空港から西武キャンプ地・南郷町までの「レンタカーの相乗りを相談された」という。こんな調子だから、センバツ大会の偵察も、気苦労が耐えないだろう。今回、会食費のカットを通告したのはどこの球団か? かつては金満体質も指摘された強〜いチームである。(スポーツライター・飯山満)