「戦車搭乗員の大きな悩みは、トイレを我慢しなくてはならないことです。水や戦闘糧食は戦車内にありますが、他に必要なものは一切ありません。T14を設計したロシア企業は、トイレがあれば戦車内の兵士の生活の質が格段に向上すると、この装備を最大限に自慢しています。T14と共通の『アルマータ』型プラットフォームを持つ戦車には、すべてトイレが標準装備されるようです」(軍事ライター)
戦車の技術では、ロシアが世界をリードしている。そのロシアがT14を初披露したのは2015年5月、首都モスクワで行った対ドイツ戦勝70年記念軍事パレードだ。
無敵戦車として国内外にアピールしたが、本番前のリハーサルではエンストを起こして立ち往生した。実戦経験はないが、当初と比べて大幅に改良が進んだとみられており、「過去半世紀の戦車設計で最も革新的な進化」と英情報機関が評したと報じられている。
米軍の主力戦車『M1エイブラムス』をはじめとする現代的な戦車の多くはトイレがないため、兵士は用を足すのにいちいち外に出なければならないが、イギリスの主力戦車『チャレンジャーⅡ』には例外的にトイレが付いている。
「実は戦車の歴史とトイレの歴史には意外なつながりがあります。第一次大戦中に世界で最初に戦車を開発したイギリスは、その開発プロジェクトを極秘にするため、最初は戦車を『水運搬車(water carrier)』と呼んでいました。ところがその頭文字がトイレを意味する『W・C』となってはゴロがよくないため、英軍が呼び名を『タンク』に変更したという由来があるのです。英軍が気にしなければ、そのまま戦車は『W・C』と呼称されていたかもしれませんね」(同)
ちなみに、北朝鮮軍の主力は旧ソ連製のT34、54、55だが、もちろんトイレは付いていない。