又吉は「上京して1か月で、思い描いていたのと全く違う状況になった」と、自身が高校卒業後に東京へ出てきたときの苦労を語り、「吉本の養成学校で言われた、芸人に必要な“明るさ・清潔さ・分かりやすさ”の全てが僕にはなかった」と告白。しかし、挫けずお笑いの道を歩むことができたのは、精神力が強かったわけではなく、「こんなもんか、と受け入れることができたから」だと持論を述べた。養成学校では同期の半分が夏前には辞めてしまったそうだが、それは「自分に対する期待が大きすぎたから」だと指摘した。
その上で「間違いなく可能性は秘めている」と前置きしつつ、「しかし、自分に過度に期待するとそれにいつか潰される。自分の夢や目標は、一度疑っておいたほうがいい」と思い通りに行かないときの心の持ちようを伝えていた。
さらに、又吉は「まじめに向き合っていても必ず意地悪を言う人がいる」「夜にしょんぼり排水溝を見つめるときがくる」「何も映っていないテレビをじっと眺めるときがくる」と後ろ向きな発言を連発。しかし、それでも「今にいいことが訪れる」と語気を強めた。
祝いの場には相応しくない(?)ネガティブなワードも飛び出したが、又吉の超現実的なスピーチを聞いた学生と思われる人たちは、ネットで「又吉さんのお話を聞いて悩みや不安が軽くなった」「現実的なところがかっこいい、地に足がついてる」「又吉のスピーチよかった」と大絶賛。多くの人の心に想いが届いたようだ。
又吉は最後に「逆に不安をあおるようなことを言ってしまった」と苦笑いしたが、同大学では、過去に堀江貴文氏やノーベル賞を受賞した京大iPS細胞研究所所長の山中伸弥氏、前大阪市長の橋下徹氏がスピーチをしており、それに劣らないスピーチであったことは間違いない。
又吉が“特別な”お笑い芸人であることをまたも示した形だ。