そんな楽天ナインと星野仙一監督(64)に、試合前、日程問題に関する一報も届けられていた。6月27日、『西武対楽天』(西武ドーム)の1試合を追加されることになった。これによって、楽天、西武の両球団は6月24日から7月3日まで『10連戦』を戦わなければならなくなった。
「変則日程はプロ野球選手会も覚悟のうえです。27日の同カードが組み込まれるまでは、9連戦が最長でしたが」(プロ野球関係者)
4月27日の同対戦カード(皇子山)が雨天中止になったため、10連戦を組み込まざるを得なかったという。『10連戦』に変更されたことへの不平不満は出ていないが、こんな声も聞かれた。「エース・岩隈は大丈夫か!?」
開幕投手でもあった岩隈久志(30)は、昨季までと違う起用がされている。ここまで3試合に投げ、防御率1.37(リーグ)3位。3勝0敗、奪三振27(リーグトップタイ)と順調な滑り出しを見せてくれたが、26回3分の1を投げている(数値は全て28日時点)。そう、先発した3試合とも「9イニング目」に突入しているのである。
岩隈といえば、野村克也元監督から何度も苦言を呈されたほど「完投試合」の少ない投手だったが…。
「完投能力がないのかと聞かれれば、答えは『ノー』。肘などの故障歴もあるので慎重になっていた時期があるだけ」
近鉄時代を知るプロ野球解説者はそう否定していた。
「岩隈はチェンジアップなど緩急で勝負していた時代もありますが、近年はスライダー、フォークボールの割合が増えています。田中が『9〜10球に1球』の割合でフォークを使うのに対し、岩隈はだいたい、『6球に1球』の割合で投げています。配球術に長けた投手なので3ボールカウントになるまで、故意にボール球を投げるところもあります。1試合で投げる球数も増えてますが、これは岩隈の長所でもあります。フォーク多投の傾向もそうですが、肩、肘への負担を考えれば、無理に完投させる必要はないと思いますよ」(ライバル球団スコアラー)
この解析コメントは昨年オフに聞かされたものだが、すでに「3試合26イニング強」を投げている岩隈の疲労度は、相当なものだろう。先発ローテーションの組み換えがあるかもしれないが、『10連戦』が与える岩隈への負担は計り知れない。連戦中、チームは救援投手陣を酷使せざるを得ない。先発投手陣は彼らの負担を軽減させてやりたいとし、長いイニングを投げようとする。エースとしての自負、責任感からして、岩隈も10連戦中の先発登板は“完投”を目指してくるだろう。
「何処かで岩隈を休ませてやらないと、たとえ10連戦を乗り切ったとしても、夏ごろ、前半戦の疲労が肘や肩の痛みに化すかもしれない」(前出・プロ野球解説者)
29日の地元開幕ゲームは一部避難所にも中継されたという。「がんばろう 東北」を宣言した楽天ナインが乗り越えなければならない試練は、これからが始まりである。