まあ、それでも予想を超えた大勝というわけではなかった。一人区ではかなり負けた。東北では野党共闘がかなり効いていたよ。オレが応援に行った福島の岩城光英さんも負けたし。新潟も長野でも負け、西高東低だった。
結果は結果として、これが今後どういう意味を持つのか考えなければならない。安倍さんは経済、経済と言っているけど、一番注目されるのは憲法改正だ。
−−意外と言っては失礼ですが、今回新しく有権者となった18、19歳の若者は自民党を支持したようです。
オレはそれほど驚かなかった。別にそれが無条件にいいことだとは思わないけどね。
野党の政策に魅力がなかったということもあるだろうが、要するに安定志向で将来に期待しないという保守的な若者が多くなっているということだ。ある意味では堅実過ぎるし、中年のオッサンみたいだ。例えば、大学生が就職活動するときに、退職金や福利厚生のことばかり気にしている。姪っ子に話を聞いてもそんな感じだ。オレが大学卒業するときは全くそんなことなかったけど、今の若者は現実的だし、世の中に冷めているんだね。「寄らば大樹の陰」という発想が多い。リスクを取らない、挑戦しない。企業では海外への転勤を希望する若い社員が減っている。オレは海外に行きたくてしょうがなかった。日本は面白くない国になっていくね。
−−憲法改正については、安倍首相の争点隠しが成功した感じを受けます。
一応、公約には憲法改正もちょろっと書いてはあるんだけど、争点にはしなかった。改憲は前面に出すと厳しくなると考えていたのだろう。しかし、選挙後は早速、憲法審査会にかけて議論を進めていくと言っていたので、やってくるのは間違いない。補佐官の衛藤晟一も「やっと憲法改正が現実的になってきた」と話していた。
そういう意味で、後から考えたときに、今回の参院選が大きな節目として歴史に残る選挙だったということになるかもしれない。ただ、実際に発議して国民投票というところまでは、もう少し時間がかかる。いきなり憲法9条というわけにはいかない。もし、最初の国民投票で否決となれば、改憲の空気が一気に萎んでしまい、次の手が打てなくなる。
よく言われているのは、緊急事態条項から手を付けるのではないかということ。9条を変えなくても、実質的に9条を変えたのと同じような影響があるということで注目度が高い。しかし、これもハードルが高い。環境権のような、もっと細々としたところから変えてくるような気がする。