A:産後うつの可能性があります。産後うつは、完璧傾向の人や、出産前後のホルモンの乱れ、育児疲れなどでなりやすいと言われています。
近年では晩婚化が進み、キャリア女性が出産を経験し、育児も家事も頑張りすぎることで産後うつになるケースが増えているようです。
●重症化する理由
症状としては、気分の落ち込み、意欲低下、悲観、食欲低下、睡眠障害、疲労感、理由のないイライラなどがあります。引き金として、一人で子育てを抱え込む、育児を休まない・休めない、他人の赤ちゃんと比較してしまうなどの傾向があり、それらが問題となって発症することが多いようです。
また、要因として、夫とのコミュニケーション不足などもあります。多くは、出産から1カ月ほどしてから徐々に不調になりはじめますが、本人に自覚がないことが多いようです。
なかにはうつ症状が重症化する人もいるので、症状が現れたら早いうちから生活環境を整え、対処することが必要です。
●妻の気持ちを聞くことから始めよう
では、どのようにすればよいでしょうか。自覚症状がない時に奥様を無理矢理に病院へ連れていっても、2人の関係が悪くなるだけかもしれません。
あらゆる症状は、心や体からのメッセージであり、無理をしていることを示すサインです。
すぐ病院へ連れて行くよりもまず、奥様の気持ちを聞いてあげることから始めてみませんか。相手を認める言葉や思いやりの一言で、奥様の心は楽になるでしょう。
また、家事や育児に両親の力を借りる、夫が手伝うなど、妻が休養できる環境を整えてみましょう。赤ちゃんの発達速度は個々に異なります。自分の赤ちゃんの個性を認め、他人と比較しても仕方がないことを理解することも大切です。
ご質問の方は、自分が自然に笑える範囲で奥様をサポートしながら、奥様本人が気付き、変わるのを待ってみましょう。すぐ病院へ連れて行くのではなく、奥様が自分で「困った」と思った時が病院へ行くタイミングだと思ってください。
なお、アドバイスや支援の相談先としては、かかりつけの産科のほか、地域の子育てセンターや心理カウンセリングなどを利用するのもよいと思います。
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田−安保理論」をベースにした自律神経免疫療法により「薬だけに頼らない医療」を実践中。