A:ご質問の方のように、就寝中に夢をよく見たり、夢の中で仕事をする人はけっこういます。
よく夢を見るからといって、けっして睡眠がとれていないわけではありません。
特に寝不足を感じるわけでもなく、体調も悪くないなら、あまり気にすることはないでしょう。
しかし、ご質問の方は熟睡できないことに不満を感じているようですね。
夢をよく見たり、夢の中で仕事をするということは、脳が休んでいないということ。だから眠りが浅く、深い眠りにつけないのです。
●考え事をしては脳はリラックスできない
言い換えると、ストレスのために、脳も体も起きている状態ということです。ですから、熟睡できないのは当然でしょう。
昔から「頭寒足熱」と言いますが、その逆で、頭が興奮して熱く、足が冷えている状態は交感神経優位となります。つまり、脳も体も活動状態にあるということです。
一日の体のリズムとしてなら、遅い時間には体温は自然に下がるもの。それがなかなか下がらなくなっているのです。
●楽しめる習慣を身につける
ご質問の方は、就業後の飲食中も仕事について考えるそうですが、それでは脳は休まりません。一般の飲食は、脳をリラックスモードに切り替えて摂るものですが、考えながらでは脳は仕事モードのままです。
それどころか、ますます活性化する恐れもあります。
まず、仕事を終えた後は、仕事に関しての考え事は一切やめにすることです。そして、体を眠れるような状態に持っていくようにします。
あれこれ考えなければ、頭の興奮と熱は自然に鎮まってきます。また、「足熱」のためには、就寝前にぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのもいいでしょう。
長年の習慣は、一朝一夕には変えることは出来ません。考えないようにしようと心に誓っても、なかなかできないものです。
変化を求めるには、何か楽しめる習慣を身につけるようにしましょう。
娯楽映画を観たり、音楽を聴いたりして、仕事モードから強制的に自分を切り離す方法も有効です。
三浦於菟氏(東邦大学医学部医療センター大森病院東洋医学科教授)
東邦大学医学部卒。国立東静病院内科勤務を経て、中国・南京中医学院、台湾・中国医薬学院に留学。日本医科大学附属病院東洋医学科助教授を経て現職。著書『東洋医学を知っていますか』など多数。