しかし、もうひとつの焦点だった連勝記録は、14日目に大関・稀勢の里に敗れ43でストップ。まるで3年前の九州場所2日目、史上2位の63連勝で止まったときのビデオを見るようだったが、“負けるべくして負けた”と見ている相撲関係者も多かった。
「稀勢の里が前半で負け、綱取りのプレッシャーから解放されてノビノビ取ったこともあるが、白鵬にも負ける材料があった。その最大のものが稽古不足。もともとそんなに多い方ではないが、この場所前は出稽古もたったの3日間と極端に少なかった」(関係者)
その理由について師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は、「もっと出稽古したかったんだけど、断られてできなかったんだ。こうなると強すぎるのも困るね」とこぼしていた。もちろん、白鵬の心のどこかに、「この程度でも大丈夫だろう」という、おごりや甘えがあったのも確かだろう。
稽古不足は相撲勘や体作りにもマイナス。そのため、中盤から後半、勝つには勝ったが、ヒヤヒヤ相撲のオンパレード。とどめは12日目の取組中に起きた右わき腹の肉離れだ。患部をテーピングで固定し、優勝は決めたが、稀勢の里戦や千秋楽の日馬富士戦では明らかに影響した。
「しそうもないところでケガをするというのは衰えの始まり。過去の大横綱たちもそうやって、引退に追い込まれていったのです」(前出・関係者)
強すぎる横綱とその他の力士たちの差が、来場所以降、いよいよ縮まることになるのだろうか。