中国映画が“抗日”をやめて『SF映画』にシフトし始めた理由

社会 週刊実話 2019年06月16日 06時03分

中国映画が“抗日”をやめて『SF映画』にシフトし始めた理由提供:週刊実話

 中国で大ヒットしたSF映画がある。『流転の地球』(中国の人気SF作家・劉慈欣作で、原題は流浪地球)という映画だ。日本でも『さまよえる地球』というタイトルで、2008年に早川書房の『S-Fマガジン』にて収録されている。

 「太陽の爆発が迫り、地球人は地球ごと太陽系の外に脱出を試みるというストーリーです。SF映画のカギを握る3D技術の多くは中国自前のものだというのも大きな宣伝要素でした。製作費は3.2億元(約53億円)でしたが、公開からわずか1週間で23億元(約383億円)の興行収入を上げ、製作費を完全にペイしました。ただし、中国の映画はプロパガンダ的要素が強いのが特徴です。映画では、現在の国連のような組織が太陽系脱出計画を主導し、中国人の主人公たちの呼び掛けに世界の人が拍手喝采で応じるという内容ですが、そこに米国の影が全くありません。主演の中国人宇宙飛行士のパートナーとして登場するのが、ロシア人の宇宙飛行士なのです。中国と二人三脚で地球を救おうとするのが日米ではなく、ロシアというところがミソなのです」(中国ウオッチャー)

 中国の映画・テレビの歴史を振り返ると、鄧小平による改革開放の時代には、自由を謳歌するテレビドラマシリーズが人気だった。それはそれまでの政府のプロパガンダ的映像からの「解放」を意味し、この時代は、誰もが中国は自由化や民主化に向かっているという期待を込めていた。中でも日本映画、わけても高倉健は現在の中高年の若年時代は大変な人気があった。

 「それが一転したのは『天安門事件』後です。そして天安門事件から国民の目をそらすため、テレビの抗日ドラマがこれでもか、これでもかと氾濫するようになりました。とはいえ中国共産党に忖度するテレビ制作マンが、中国人の主人公が数百人の日本軍を一瞬で壊滅させたり、ナイフで戦闘機を撃墜するといった荒唐無稽な演出を多用するようになり、さすがに現代っ子たちが『抗日神劇』と小バカにするようになったのです。それで習近平政権は、こうした過剰な演出で“マンガチック”になってしまった抗日ドラマを規制するようになったのです」(同・ウオッチャー)

 抗日ドラマに代わって、これからはSF映画にシフトしようというわけだ。

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