そこには、両社の間に埋めきれない深い溝があることが暗示されているようだ。
「旧三井財閥のルーツに当たる三越は三井住友がメインバンク。一方の伊勢丹は三菱東京UFJがメイン。その関係からいえば、本来はあり得ない組み合わせだ。経営統合などは企業がメインバンクと一体になって戦略を練るのが一般的です。三越の場合、他の大手に組むべき相手が見つからなかった事情はあるにせよ、メインバンクの枠を飛び越えたのは極めて異例。逆にいえば、そこまで追い詰められて伊勢丹を駆け込み寺にせざるを得なかったということでしょう」(金融筋)
実際、ジリ貧に喘ぐ三越の石塚邦雄社長は今年に入って危機感を募らせたようだ。2月決算は高島屋、伊勢丹などが増収増益だったのとは対照的に減収減益。とりわけ営業利益は前年を16.8%も下回り、世間に「凋落の三越」を印象づけた。松坂屋ホールディングスとの統合を発表した大丸が13.6%もの増益を達成し、三越を抜いて3位に躍進したことも石塚社長にはショックだったはずだ。