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たかが八ツ橋、されど八ツ橋 創業年巡り法廷バトルもマイナス効果だけ…

 京都の銘菓『八ツ橋』は、観光客の40%が購入すると言われ、売り上げ規模も100億円を超す、京都を代表する和菓子の一つだ。
 たかが八ツ橋、されど八ツ橋…この『八ツ橋』をめぐって、ある騒動が持ち上がっている。『八ツ橋』の老舗である「井筒八ッ橋本舗」が6月6日、同じく老舗の「聖護院八ッ橋総本店」に対し、創業を元禄2年(1689年)とする表示の使用禁止と、600万円の損害賠償を求める裁判を京都地裁に起こし、地元土産商店の話題をさらっている。
 井筒側の主張によれば、聖護院は文献に記載がないにもかかわらず、自社の宣伝のために創業を元禄2年とし、京都で最初に『八ツ橋』を創ったかのように記載しており、この虚偽表示が不正競争防止法違反にあたり業界の信用を傷つけたというもの。井筒のグループオーナーである津田佐兵衛氏は記者会見で、「創業年がでたらめ。業界全体への影響が大きく、やめてもらいたい」と語気を強め、聖護院を痛烈に非難している。

 京都市には『八ツ橋』の製造・販売会社が14社あるが、中でも井筒、聖護院の両社は、ともに代表する老舗として『八ツ橋』界を長らくリードしてきた。
 「その関係に波風が立ったのは昨年5月。業界団体である京都八ツ橋商工業協同組合が聖護院に対し、根拠のない表示の中止を求め、京都簡裁に調停を申し立てたのです。この時は聖護院側の“民事紛争に該当しない”との訴えが認められ調停は不成立に終わったのですが、今回はそれに白黒をつけるべく起こされたとの見方が強い」(地元記者)

 同組合関係者は、こう語っている。
 「これまで共存共栄のええ関係でやってきたんやからと思うんやけど、事は『八ツ橋』の起源にも関係してくるから、放っといたら業界全体の信用にかかわる、そう言われたら、やはり見逃がすわけにはいかんでしょう」

 ただし、そうした対立は、今に始まったことではないとの見方もある。
 「6年前、聖護院の専務に、鈴鹿且久社長の一人娘で京都大学卒の鈴鹿可奈子氏が就任し、新製品の開発や洋菓子とのコラボなど、積極的な販売戦略を展開するようになった。“創業元禄2年”を打ち出したのも、その一つ。こうした改革の動きが、伝統を重んじるとされる井筒側の反発を買い、それまでの協調路線にヒビが入ったのではないか。そこへ、昨今の外国人観光客の急増が火をつけた。彼らは単純に歴史のある方を選ぶため、売り上げに直結しますからね」(同)

 いずれにせよ、この『八ツ橋』騒動が「ヤケッ八」や「八ツあたり」となってイメージを壊すことのないように願う。

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