「基幹病院は一時的に病棟閉鎖で外来患者を減らし、手術件数も抑えました。結果、陽性入院患者が多ければ多いほど収入が大幅に減少し、利益率が下がった。これが病院機能の低下につながり、予想される第2波への対策が危惧されているのです」(医療ライター)
日本病院会、日本医療法人協会、全日本病院協会の3者が4332病院を対象にした『新型コロナウイルス感染拡大に伴う病院経営状況近況調査』の有効回答数(1141病院)の調査結果によれば、2020年4月時点での収入は前年同月比10.5%減、医業利益率は赤字に陥っている。
「收入減、利益率の低下は外来患者数の減少に如実に表れています。調査に回答した全病院で、4月の手術件数は前年比で約18%も減少している。これでは病院経営は成り立ちませんよ」(全日本病院協会関係者)
千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)は、すでに経営状況が悪化していることが明らかになっている。
「千葉大病院は院内感染を回避するために、外来患者の受け入れを減らして感染防止対策で使用できる病床数を間引いたことなどが大減収につながったのです」(千葉県内開業医)
千葉大病院は県の要請を受けて、新型コロナ感染患者の入院治療を積極的に進めてきた。当初は人工呼吸器が必要な中等症以上の患者を受け入れる予定だったが、県内の体制が整わず、4月まで軽症者も治療。ピークとなった4月下旬には同時に約30人を治療しており、計50人以上が入院した。
「政府はコロナ患者を受け入れた病院や医療従事者に対し、診療報酬上のさまざまな便宜を図っていますが、病院によっては医師を一方的に解雇するケースも出ている。病院機能が低下しており、現場では医療崩壊も起きています」(前出の医療ライター)
政府による支援拡充対策は急務だ。