「夏の甲子園大会は、東京五輪を開催するとの前提のもとに組まれていたため、今年は昨年より少し遅い8月10日に開幕する日程でした。それが、このままでは同日までに代表校が決まらない県が出そうな状況です」(学生野球担当記者)
日本高校野球連盟(高野連)は5月20日に都道府県組織の代表者を集め、運営委員会を開催する予定だ。当初は4月22日に予定されていたが、一連のコロナ禍により延期していた。それが1カ月遅れで開催されるのは、高野連の「夏の甲子園はやりたい」の一心だという。
「同じ8月10日に開幕する予定だったインターハイは、GW前に中止が発表されました。同じ高校の部活動なのに『野球だけ開催を目指すのはおかしい』との意見も出ています」(同)
地方予選の舞台となる都道府県営の球場の中には「利用禁止」を決めている施設も少なくない。特に神奈川県の決勝戦を行う予定だった保土ヶ谷球場は、8月末までの利用中止を決めている。
それでも高野連は、「やりたい」の一点張りだ。
「沖縄県大会は、6月20日にスタートする予定です。早く決めないと、球児も準備ができません。高野連が開催にこだわるのは、『3年生が気の毒だから』に尽きます。来年になれば、3年生は進学、就職となり、野球は高校までと決めている球児もいます」(都内私立校職員)
打開策となりそうなのが、地方予選と甲子園の本大会を「分離」してしまうというアイデアだ。これは、沖縄県など地方の一部高野連スタッフから出たもので、「甲子園に行かせてあげられないのは気の毒だが、地方大会の優勝校を決めるくらいなら、夏休み期間中に消化できる」との見通しに立っての意見でもある。
「8月10日までに代表校を決める」との期日をなくし、「甲子園には行かずに都道府県の決勝戦で終了」とするのなら、なんとかなるかもしれない。
「公立、私立ともに、ほとんどの高校が休校中であり、野球部も休部状態です。準備不足の中、甲子園本大会に固執すれば、球児の怪我や熱中症のリスクが高まるだけです」(同)
高校野球は故郷を思い出す大会だ。「センバツに続いて夏の甲子園も」となれば球児はもとよりファンもガッカリだが、特別扱いはよろしくない。地方大会で終了させる分離策が、世論も納得できるギリギリの妥協案となりそうだ。