「通常の143試合のペナントレースを消化するのは、もう無理です。120試合を行い、交流戦、クライマックスシリーズはナシ。オールスター戦も同様です。それでも、タイトスケジュールになるのは避けられないでしょう」(球界関係者)
緊急事態宣言の解除が大前提だが、五輪で休止するはずだった7月21日から8月13日が連戦に次ぐ連戦となりそうだ。この“夏のフル稼働”により、なぜか矢野阪神がⅤ候補に躍り出た。
「通常の公式戦は週6日。これを『休みナシ』としますが、台風などによる中止が重なれば、9月以降はダブルヘッダーもあり得るでしょう。それを乗り切る対策として今季に限り、『外国人選手の一軍出場枠の撤廃』という意見が出ています」(同)
阪神は8人の外国人選手を抱えている。V候補に挙げられる理由は、単に人数が多いからではない。
「阪神の弱点だった先発投手難が解消されます。来日3年目のガルシアと期待の新外国人ガンケルを先発させ、リリーフのエドワード、スアレスもベンチから外さずに済みます。野手では2年目のマルテ、バース二世のボーア、昨季の韓国球界の打点王であるサンズの3人を同時にスタメン出場させられる」(在阪記者)
ボーアはオープン戦、本塁打0に終わり、サンズにしても「同じ韓国の本塁打王のロサリオも通用しなかった」と批判的な声ばかり。しかし、それは「一軍戦4人まで」という出場登録枠を争う上での話だ。
この外国人野手3人に、大山悠輔、近本光司、福留孝介、糸井嘉男らが合体した打線は破壊力バツグンだ。
しかし、予算の都合上、外国人選手の補強に熱心ではなかった球団は、一軍出場枠撤廃に難色を示しているが、こんな情報もある。
「オーナー会議の議長は輪番制で、今年は三木谷浩史オーナーです。三木谷氏は外国人枠の撤廃論者として有名で、Jリーグ・ヴィッセル神戸でも何人もの大物外国人選手を獲得し、出場枠の撤廃を訴えてきました」(ベテラン記者)
また、良識派も味方してくれそうだ。ソフトバンクの王貞治球団会長は新春のTV出演で16球団構想をぶちまけた。球団数が増えれば、選手のレベル低下を招く。それを外国人選手でカバーできるからで、「少子化=競技者人口の減少」という切実な問題もある。
阪神に追い風が吹いている。矢野燿大監督の高笑いが聞こえてきそうだ。