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W杯直前現地緊急レポート ザックジャパンを襲う3つの“見えない敵”

 「サッカーの本場でワールド杯を生観戦したい!」
 ザックジャパン“決勝トーナメント進出の力”となるだろう日本からのこんな熱きサポーターたちが、相次いでブラジル行きを断念している。開催に伴う汚職や公費無駄遣いに抗議する大規模デモが国内各地で続き、交通麻痺や治安の悪化が一向に収まる気配を見せないからだという。
 「いよいよワールド杯が近付き、一気にデモの激しさが増しました。これがスタジアムや宿泊施設の完成遅れという事態も招き、国中が大混乱している。この異常事態に日本人サポーターも二の足を踏んでいるのでしょう。実際、ブラジル国内はワールド杯どころじゃなく、チケットはだぶついており、日本戦もたやすく買える状況です。コロンビア戦だけは一応完売になっていますが、これは隣国コロンビアのサポーターが大量に購入しているから。日本人サポーターは数えるほど、しかも右も左もコロンビア人のスタジアムで、日本代表は実力を発揮できるかどうか。こういう試合の経験が少ない日本にとっては緊急事態ですよ」(サンパウロ在住の商社マン)

 日本の試合日程は、現地時間の6月14日にコートジボワール戦(レシフェ)、19日にギリシャ戦(ナタル)、24日にコロンビア戦(クイアバ)が決まっているが、いずれも大都市のリオデジャネイロ、サンパウロから数百キロも離れており、名前を聞いてもチンプンカンプンだ。
 「ブラジルの治安の悪さは有名ですが、中でもレシフェは犯罪発生率の高さではトップクラスです。殺人事件や強盗事件も多く、ホテル環境も十分に整備されていません。日本人サポーターの多くはレシフェでの宿泊を避け、北におよそ300キロのナタルを拠点に、そこからレシフェのコートジボワール戦に向かうようです。簡単に300キロといっても、東京から名古屋や仙台へバス移動するような距離。高速道路も十分に整備されておらず、半日はかかる上、しかも蒸し暑い環境での往復。当初はそれでもワールド杯を生観戦できればいいと思っていた人たちも、本番が近付くにつれますます悪化する現地の情報に、さすがに躊躇するようになったようです」(同)

 ギリシャ戦のあるナタルは温暖なビーチリゾートとして知られ、比較的治安が良いとされるが、それでも日本と比べると格段に悪い。また、決勝トーナメント進出が懸かるクイアバのコロンビア戦は、先に述べたようにコロンビアのサポーターで満パイが予想され、日本は完全にアウェー状態。
 コロンビアではマフィアが大掛かりなサッカー賭博を行っているといわれており、16年前のワールド杯アメリカ大会では、オウンゴールを献上した選手が射殺されるという悲劇も起きている。空気の読めない日本人サポーターがバカ騒ぎすると、思わぬ事件にもなりかねない。

 さらに追い打ちを掛けるのが、最終キャンプを張るイトゥの整備遅れだ。サンパウロの北西約100キロの距離にある『スパ・スポーツ・リゾート』だが、これがいまだに未完成。日本サッカー協会の再三のクレームにも「6月8日には完成する」とマイペースで、どうやら滞在する施設の空調、風呂、インターネット環境などは間に合わない可能性が高いという。
 国賓ともいえる代表チームからしてこのありさまだから、一般ファンへの対応は容易に想像できる。ブラジル政府の調べで「外国人観光客の25%がブラジル行きをキャンセル」していることが判明、大会組織委員会のアドバイザーを務める元ブラジル代表のペレ氏(73)は5月19日、“開催危機宣言”を発した。
 「昨年ブラジルで行われたコンフェデレーションズカップ(プレワールド杯)のときの準備不足の状況から、本番もこうなることは予想されたはず。このままデモが続けば、ワールド杯は台無しになる」と政府の無策を批判するとともに、ブラジル国民に自制を求めた。しかし、市井の人々は世界中が注目するこのワールド杯を“国をまともな方向に変える千載一遇のチャンス”と捉えており、デモが収まる気配はない。

 未完成の合宿所、現地入りをためらうサポーター、完全アウェーのスタジアム−−。ザックジャパンは、果たしてこの“3つの見えない敵”を返り討ちにできるだろうか。

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