最新の引き抜きは立憲民主党に比較的近い、参院で院内会派も結成する社民党からだ。
「立憲は社民党の東京都杉並区議の市来伴子氏が参院選山梨選挙区から出馬することを公表したのです。本人の強い意志があったとするが、社民にとって市来氏は4月の区議選で当選が見込める候補だった。そのため又市征治・社民党首は『裏切りだ』と猛反発したのです」(全国紙野党担当記者)
野党を分断する立憲民主党の引き抜きは次の通り。
東京選挙区はかつてヤジ騒動で有名になった塩村文夏・元都議を国民民主党から引き抜き擁立。千葉選挙区では長浜博行元環境相、茨城選挙区は国民民主党公認候補として選挙運動に突入していた藤田幸久参院議員を引き入れている。
「藤田氏は連合も一体で選挙準備に動いていた。ほぼ全県的にポスターなどの用意が終わった段階での引き抜き…。ところが、立憲に鞍替えした藤田氏はいまだに公認が得られていない。風評では立憲は選挙区で別な元官僚を公認候補として擁立し、藤田氏は比例に回される可能性があるそうだ。つまり、藤田氏引き抜きは参院での野党第一党を目指した立憲の数合わせに使われた、ともっぱらです」(国民民主党関係者)
このほか立憲民主党会派入りした岡田克也・元外相や安住淳・元財務相らが国民民主党の現職議員に接触し、「どうせ国民民主党は潰れるのだから立憲民主党に移ってはどうか」という露骨な引き抜き合戦も展開し始めているという。
「勧誘は3月に入り急増しました。背景には安倍首相が秋の消費税値上げを諦め、3度目の増税延期をするのではという機運が高まっているからだ。その信を問うため、衆参ダブル選挙を仕掛ける確率もグーンと高くなった。今から新人を擁立しようとしても、とても衆参ダブル選挙には間に合わない事情から、立憲は他党に手を突っ込んだのです。しかし、こんな火事場ドロボーのようなことをしていると、自民党の思う壺ですよ」(野党議員)
「立憲の引き抜きは小沢氏に対する恐怖心だろう。小沢氏と玉木氏らの合流の動きを阻止しないと、再び小沢氏中心の野党勢力になってしまう。それを恐れての行動でしょう」(別の国民民主党関係者)
立憲の敵は小沢氏なのか、自民党なのか。