「スピーシーは前身の会社時代、'08年ごろから英国政府公認の賭け業者ブックメーカーを使って、サッカーなどの試合結果に『分散して賭ければ必ず利益が出る』としていた。月に出資額の3〜10%という高配当を謳っていたが、もちろん、世の中そんなにおいしい話はない。また、新たな会員を紹介するとマージンを受け取れる仕組みなどが口コミで広がり、出資者を急速に増やしていった。昨年夏時点で少なくとも、全国約6000の個人・法人に上る」(全国紙社会部記者)
まさに典型的なマルチ商法だ。例えば、出資者Aさんが友人のBさんを勧誘して出資させていた場合、Aさんは被害者であり加害者でもある。つまり、この仕組み自体が解決を難しくしているという。
「この事件は大阪府警が捜査を担当しているが、もうひとつ壁となっているのが、投資先が海外であるということ。投資の実体があるにせよないにせよ、捜査当局はそれを証明しなければならない」(同)
一方で損害賠償請求の民事訴訟は、全体からは小さいながらも結果が出ている。大阪と東京で集団訴訟を提起している弁護士事務所の原告の数は、大阪が43人、東京が28人。原告らの実損害額は合計約3億8000万円で、そのうち63%にあたる約2億4200万円を取り戻すことができたという。
「おそらく早めに訴訟を起こしたことで、強制執行が実現したからだろう」(同)
民事訴訟を起こしたのはごくわずかだ。死屍累々たる被害者たちは、果たして今後どうなるのか。