「米国ミサイル防衛庁のサミュエル・グリーブス長官は4月3日、連邦議会上院軍事委員会の聴聞会で『北朝鮮は米朝が核交渉中もSLBM開発を継続していた』と証言しています。北朝鮮のSLBM搭載潜水艦は現在、15〜16年のSLBM発射実験でその姿を見せた『コレ級』潜水艦が1隻だけです。これは93〜94年にロシアから廃棄物として入手した旧ソ連製ゴルフ級潜水艦の技術を研究し、改良して製造した潜水艦で、排水量約1500トン、SLBM1基だけが搭載可能とみられることから、船体サイズなどから見て長時間・長距離の運用に耐えられるものではなく、米国もあくまで実験用とみています」(軍事ジャーナリスト)
完成した場合、搭載されるSLBMは「北極星Ⅰ」もしくは「北極星Ⅲ」と推定されている。とすれば、日本および在日米軍はどうなるのか。
「Ⅰ」は、すでに16年8月の発射実験で、約500キロメートルの飛翔距離を実証している。高いロフテッド軌道を取っており、最大射程に換算した場合1000キロ以上と推定されている。「Ⅲ」は不明だ。
「米海軍や海上自衛隊の警戒網を超えて太平洋深くまで進出して作戦行動するというのは考えにくいですから、あくまで日本海周辺での運用になるでしょうが、それでも在日米軍、在韓米軍は核脅威下に入ることになります。日本への脅威が一気に増すことは間違いなく、さらには非核化交渉が停滞するなか、SLBMは、核による先制攻撃を受けても第2撃で報復する能力を持つため、対米抑止力は数段強化されます。北朝鮮としては当然、第2撃能力を持っていたいわけで、外交上の非核化交渉で駆け引きしながらも、こちらは着実に進めていくことが予想されます」(同・ジャーナリスト)
北朝鮮は「深く静かに潜航中」だ。