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キャバ嬢が生まれる瞬間(74)〜上京後に就職先を辞めた女〜

河西優奈(仮名・23歳)

 私は高校を卒業後、都内の会社へ就職を決め、上京した。東北の田舎で育ったものだから、東京への憧れが強く、就職は親を説得するための口実として、なんとなくで決めた所だった。でもいざ入ってみると、その会社は小さな企業で、女性は私だけ。他は男性ばかりなので、当初は逆ハーレム状態だなんて軽く考えていた。だけどいざ働き始めると、異性だから気は使うし、仕事の悩みとかを気軽に相談できる同性の先輩がいないことが、あそこまでツライとは思わなかった。本当に毎日孤独を感じるようになった。

 過激なセクハラこそなかったものの、「優奈ちゃん、彼氏はいないの〜? そんなんじゃ夜が寂しいんじゃない?」とか、「体調がすぐれないの? あの日かな?」みたいな言葉のセクハラは日常茶飯事だった。そして飲み会があれば、私はお酒を注ぐだけのホステスのような存在になっていた。

 そんな日々が続くと、私はストレスが溜まり、体調が優れなくなっていった。会社に行こうと玄関を出ようとすると吐き気が止まらなくなり、眩暈がしてくる。段々、私はもっと女性のいる職場で働きたい、お茶くみや飲み会でホステスの役割をするなら、それでもっとお金を貰える所で働きたいと思うようになった。だから私は、思い切って会社を辞めて、キャバクラで働くことにしたんだよね。

 まだ現在の状況は親に言えていない。言ったら絶対に反対されるだろうから。でも今ではキャバクラという仕事に満足している。楽な仕事ではないけれど、仕事の愚痴を理解してくれる同僚が近くにいるだけで、心の軽さが全然違う。とりあえずは、この仕事をしばらく続けていくつもりです。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真撮影・Rum Bucolic Ape

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