デスクワークが1日6時間以上の仕事になると、疲労を感じる割合は一気に高まるといわれるが、日本企業の46%(男性45%、女性51%)がデスクワーク中心の働きをしているというから、サラリーマンにとって環境は最悪。1日6時間以上、パソコンにへばりついている人は気を付けた方がいい。
東京社会医療研究センターの村上剛主任は、こうしたオーバーワークの仕事への警鐘に加え、食生活についても注意を促す。
「厚労省が年代別に生活習慣を調べたアンケートによると、30代から40代が一番生活に注意していないんです。タバコは吸う率が高いし、脂肪分の多い食事も頻繁に摂る。あるいは野菜や果物も多く摂っていない。以前は30代で心臓病というのは稀だったんですが、最近はそういう患者さんが増えています。30代の運動不足、食生活の乱れ、生活習慣の乱れが、こうした心筋梗塞などの若年化に繋がっていると予想されます」
また、30〜40代の人は、まさか心臓病なんて、という認識を持つ人が多い。だから胸が痛くても恐らく病院へ行かない。そうしたことが将来の動脈硬化などの若年齢化となり、心筋梗塞、狭心症などに繋がっている可能性があると見ている。
しかし、逆の言い方をすれば、若い頃の罹患者は、運動不足や食生活の乱れ、生活習慣(喫煙含む)を正す努力をすれば、心臓病や動脈硬化などは防げるということになる。
「いずれにしても、決まり切った言い方になりますが、タバコはいけません。心臓病を発症する人は、糖尿病や高血圧でなくても、喫煙をしている人が多い。また推し量るのは難しいのですが、ストレスが大敵。仕事上、対人関係などのストレスがかなり影響していると思われます。もちろん食べ物に気を付け、お酒も1合(日本酒)ぐらいだと、善玉コレストロールを上げますが、2合、3合は控えた方がいいですね」(前出・村上主任)
心臓病の場合、突然起こる胸の痛みや圧迫感がある。主に左側だが、指で示せるような狭い範囲ではなく、もう少し広い範囲の痛みといわれる。狭心症の痛みは数秒から数分、長くても15分以内で治まる。
しかし心筋梗塞は、激しい痛みが15分以上、時には数時間続くことがある。動悸や冷や汗、めまい、吐き気などを伴うこともある。その場合、集中治療室が整った病院を受診することが必要だ。ただ、60代以上のお年寄りだと、あまり痛みを感じない場合もあるので、専門家は軽い症状でも繰り返される場合は、早目に病院の診察を受けるよう提言をしている。
心臓病と言えば、たった今まで元気だった人が、突然倒れて、そのまま息を引きとってしまう怖い病気。しかも心臓病の患者数は年々増え、現在では、わが国の死亡原因の第1位の癌に次いで第2位。年間で18万人の人が命を落としているといわれる。
しかし怖い病気ではあるものの、早く気づき適切な治療を受ければ、劇的に良くなる病気だ。あなたも心臓の叫びに耳を傾けよう。