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話題の1冊 著者インタビュー 福西崇史 『こう観ればサッカーは0-0でも面白い』 PHP新書 760円(本体価格)

 −−今回のブラジルワールド杯で、初めてサッカーを観る方もいると思います。どの選手やポジションに注目すると楽しめますか?

 福西 一番目立つのは、やはりゴールを決める選手になりますし、初めて観る方にもわかりやすいとは思います。ただ、僕が現役時代に務めていたポジションであるボランチ、または「戦術」「個の力」に注目することで“サッカーの本質”や“奥深さ”といった一歩先が見えてくるのではないでしょうか。
 まず、ボランチとは「グラウンドの中央にいるミッドフィルダー」のことで、現在の代表では遠藤保仁や長谷部誠が主に任され、ワールド杯に挑むメンバーでは、山口螢や青山敏弘もこのポジションです。中でも遠藤選手のスゴさというのは、なかなか伝わりづらいのですが、彼はパス一つでゲームをコントロールしますから、彼に注目すると面白いですよ。彼は、ゲーム中の状況判断、いわゆる駆け引きに優れています。例えば、相手チームから奪ったボールをすぐに前線へ送り、早く攻めようとしているのか。それともあえて後ろにパスをし、ゆっくり攻めようとしているのかといった駆け引きを行っています。また、普段は淡々とプレーしている彼がダッシュして守備をしていれば、それは一番危ないシーンであったりします。なにせ、彼は試合中にあまりダッシュをすることはありませんから(笑)。
 長谷部選手はよく走りますが、彼の本来の良さは、前線に飛び出すことやドリブルでボールを持ち上がること。それができているか否かで、試合の流れもつかめます。

 −−「戦術」を理解するためには、どう観ればいいのでしょう?

 福西 僕は会社に似ていると思うんです。サッカーならフォワードには点を取るという役割があり、会社では営業なら営業の役割があって、サッカーでも会社でもそれぞれに役割がある。また、サッカーは監督がチームの方向性を示しますが、同じように会社でも上司や社長が会社の方向性を示しますよね。ですから、サッカー特有の「戦術」や「個か組織」「システム」にとらわれず、自分の会社に置き換えて観ていただければ、身近に感じることができると思うんです。
 ボランチのプレーなど「個」を見ていくのもいいですし、「個」を見ていくからこそ「組織」が見えたりします。そうすることで、居酒屋などでのサッカー談議にも花が咲くと思いますし、そのために本書が役立ってくれればいいですね。
(聞き手:本多カツヒロ)

福西崇史(ふくにし たかし)
1976年生まれ。愛媛県新居浜市出身。ジュビロ磐田などでボランチとして活躍。'02年日韓ワールド杯、'06年ドイルワールド杯にも出場した。

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