コロッケ ずっとふざけているからじゃないですか(笑)。ものまねレパートリーの中には、妄想やアレンジが進み過ぎて、ご本人とは似ても似つかなくなってしまっているものまねもありますし。私の芸は、ご本人を知らなくても、子どもからお年寄りまで楽しめるというコンセプトでやっているからかもしれませんね。でも、私なりにリスペクトしてものまねしていますし、特にご本人と共演させていただくときは、自分がウケようではなく、必要以上に出しゃばらないように気をつけています。
−−ものまねをする上で重要な点として、この本では「観察力」と書かれています。どんなことに注意して観察していますか?
コロッケ まずは、その人に興味を持つかどうかですね。興味を持ったら、カメラのシャッターを切るようにその人の動作を目に焼き付けて頭の中に保存し、その残像で妄想を始めると、どんどん広がっていくんです。歌手や俳優さんならくしゃみをするときの顔や、音に合わせて動く姿などを妄想していくうちに、別の生き物に生まれ変わって失礼なことになってしまうこともあるんですけどね(笑)。それと第一印象で相手を判断するようなことはしません。例えばすごく感じの悪い人でも、照れくさくてそうしているだけかもしれないですよね。本当は、第一印象のイメージではないかもしれないのに、最初からそう決めつけてしまうのは、どうも上から目線のようで嫌なんです。
−−尊敬する人をマネることで、仕事がうまくいくこともあると思います。一般の人が観察する上でのポイントを教えてください。
コロッケ 物欲でも良いので、欲が重要だと思うんです。最近は、男性より女性の方が欲がある人が多い気がしますね。欲を満たすにはどうすればいいかを考えることがエンジンになりますし、そのためには尊敬する人をマネることが重要です。マネることがカッコ悪いとか、二番煎じと考える人もいますが、そんなことはありません。マネる人によって変わりますし、マネをしていると自分のオリジナルが勝手に出てくるものなんですよ。
−−コロッケさん自身の現在の欲はありますか?
コロッケ 最近、ボランティアをやり始めて、後々にやりたいことがあります。他には、今更お酒を飲んでモテたいというよりは、自分の話ではなく、相手のことを思って話すような人と飲むのが楽しいですね。
(聞き手:本多カツヒロ)
コロッケ
1980年「お笑いスター誕生」(NTV系)でデビュー。浅草芸能大賞・新人賞など多数受賞。現在のものまねレパートリーは300種類以上。来年、芸能生活35周年を迎える。