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話題の1冊 著者インタビュー 森鷹久 『脱法ドラッグの罠』 イースト新書 861円(本体価格)

 −−今年6月、東京・池袋で起きた暴走自動車事故をはじめ、危険ドラッグにまつわる忌まわしい事件が後を絶ちません。

 森 そうですね。あの池袋の事故の後、今年の7月に警察庁と厚生労働省は“脱法ドラッグ”を“危険ドラッグ”という呼称に変更し、報道などでもそのように統一されました。しかし、この本で“脱法”という言葉をあえて使ったのは、その言葉にこそ、問題の全てが凝縮されていると感じたからなんです。
 “脱法”ということは、法に抵触しないし、実際に購入でき、使用しても逮捕もされません。例えば名古屋での取材の際には、中高生と思われる子供たちが、酒やタバコなら警官に補導されるけど、脱法ドラッグならば手を出せないという理由で、街中で堂々と吸っていました。
 また“脱法”ということは当局が規制をしていないということなので、特段危険ではないと思う人もいる。でも、ガソリンを飲むことが規制されていないからといって飲む人はいませんよね。それと同じく、脱法ドラッグも危険であるにもかかわらず、人々にそういった認識がないんです。つまり、何がどう危険で、使用するとどうなるのかということがわかっていない。

 −−度々、当局により規制がなされていますが、現在はどのような状況なのでしょうか?

 森 現在、出回っている脱法ドラッグは、覚せい剤などよりはるかに危険で、吸引後、即死に至るものまで出てきました。私自身は2009年ごろ、東京の繁華街で“合法ハーブ”と書かれた看板を初めて見掛けて以来、この問題に興味を持ち始めました。何度か実際に吸ってみたこともあります。'10年ごろのものは、大麻に近く多幸感をもたらすようなものでしたが、規制が行われた'11年のものは、若い子の間で“パキる”と言われるように、頭にキーンと来て、意識が飛びました。また、性行為の際に使用すると感度が上がるようで、中高年の男性で頻繁に使用している人もいると聞きます。
 ただ、大人がこのようなドラッグを使用すると、禁止成分が検出されれば逮捕されますが、そうでなければ法による強制力がないので自らやめられるキッカケがなかなかありません。もし逮捕されれば社会的な身分や仕事もなくなってしまう。これが子供ならば、親が無理矢理にでも施設や病院に連れていくと思うんです。
 覚せい剤や大麻よりも、宅配などで簡単に入手できますし、法の穴を突いた薬物はこれからも出てくるでしょう。この本を読んで、“脱法ドラッグ”への認識を改めてもらえればと思います。
(聞き手:本多カツヒロ)

森鷹久(もり たかひさ)
1984年、佐賀県生まれ。高校中退後、番組制作会社、出版社を経て、フリーランスの編集者・ライターに。共著に『ヘイトスピーチとネット右翼 先鋭化する在特会』がある。

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