search
とじる
トップ > その他 > 話題の1冊 著者インタビュー 齊藤真 『暗躍する外国人犯罪集団』 花伝社 1500円(本体価格)

話題の1冊 著者インタビュー 齊藤真 『暗躍する外国人犯罪集団』 花伝社 1500円(本体価格)

 −−書名にもなっている外国人犯罪集団のクリミナル・グループとは、どんな組織なのでしょうか?

 齊藤 いまだに犯人が逮捕されていない2000年に起きた世田谷一家殺害事件を取材中、ふと捜査員が隠語として「クリミナル・グループ」という言葉を使っているのを聞いたんです。現場に残された犯人の足跡から判明したスニーカーや、殺害に使用されたナイフなどが日本では入手困難な物だったこともあり、私も取材を進めるうちに外国人の犯罪ではないかと考えるようになった。それまで、外国人犯罪は単独犯で、たまたま犯人が外国人というだけで、系統だって語られることはなかったが、彼らは見えない糸で結ばれながら組織だっているということを、この事件をキッカケに考えるようになりました。
 このクリミナル・グループは、在日韓国人や中国人、そして「ヒット・アンド・アウェイ」と呼ばれる国内の引受人のような存在を頼りに、犯罪のために不法入国し、すぐに海外へ逃げてしまうような人間から構成され、すでに日本の隅々にまで定着しています。彼らの中には、特別に掟や縛りがあるわけではなく、最終的には同胞意識でつながっている。また、彼らは実際に窃盗や殺人を行ったり、それぞれに役割があるけれども、決して全体として一枚岩ではない。ただ、閉じられた世界なので、お互いがどんな犯罪を犯したのかを知っている。そうした世界の中で、どのように情報が回っているのかということに興味があった。だからこそ、私はその実態を知りたいと考えたし、彼らに接触すれば、外国人が犯行に関わったと考えられる未解決事件についての情報を得られると思った。結果、彼らとの接触を通して、板橋資産家殺人放火事件や、八王子スーパー強盗殺人事件などは外国人が犯行に関わっているという情報を得ることができました。
 ただ、彼らから得た情報を当然、私はメディアで発表したり、捜査員への取材でその情報を交換することもある。クリミナル・グループは、そんなことは百も承知で、私を利用して自分たちと拮抗したグループをけん制する情報をわざと流すこともあるのです。

 −−そうしたグループの実態を警察は把握しているにもかかわわらず、なかなか逮捕されないのですね。

 齊藤 警察も組織替えをし、外国人犯罪を捜査するために組織対策課を設けました。また、事件後すぐに海外へ逃げられてしまうと、犯罪人引渡し条約が壁となって、日本で逮捕や処罰ができないう事情もあります。
(聞き手:本多カツヒロ)

齊藤真(さいとう まこと)
ジャーナリスト。週刊誌記者を経て、現在はフリーランスで活動中。著書に『世田谷一家殺人事件 −侵入者たちの告白』(草思社)。

その他→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

その他→

もっと見る→

注目タグ