日本人の体温(平熱)は平均36.89℃とされ、1日のうちの変化はほぼ1℃以内に収まるのが通常。しかし、そこからさらに0.5℃〜1℃下がっただけで免疫力が35%前後も落ち、体力が激減する上、体内酵素の活動も鈍る。すると白血球自体の働きも弱まり、病気を招き入れることになる。
東京都多摩総合医療センター・総合内科の担当医はこう説明する。
「白血球は体外から侵入してきた細菌やウイルスを捕らえ破壊しますが、体温が下がると反応も鈍くなり働きが落ちてしまう。我々の遺伝子は活性酸素によって傷つけられていますが、それを修復する酵素の働きも鈍ってしまうため、がんだけでだけではなく代謝系の疾病などあらゆる病気にかかりやすくなります」
例えば風邪が流行している時期に、すぐ風邪を引いてしまう人と元気でぴんぴんしている人がいるが、その違いは「免疫力の差」に尽きる。まさに「体温=体力」といえるのだ。
また、「体温の低下は百害あって一利なし」という医療関係者もいる。
前出の内科総合担当医によれば、「がん細胞は熱に弱い性質があり、体温が高い方はがん細胞が定着しにくく、部位的には心臓と脾臓」だという。理由は、心臓は常に動いて熱を生じているため温かく、脾臓にしても赤血球が集まっている場所で温かい。従ってがん細胞ができにくいからだ。
「逆に、がんに取りつかれやすい場所は管腔臓器ばかりです。食道や胃、肺、大腸や子宮など。つまり、管になっている臓器で外界と繋がり、とても冷えやすいところばかりです。“冷えは万病の元”と昔からいわれていますが、がんはまさにその言葉が当てはまります」(同担当医)
また、健康体を維持するために知っておきたいのが、冒頭でも触れた「酵素」の働きだ。酵素は栄養ではないが、体のありとあらゆる部分を支えていると言っても過言ではない。
例えば、食べたものを分解して消化するのも体内酵素の働きによるもの。吸収した栄養を内臓や筋肉など体のあらゆる組織に届けるのも、酵素の働きがあってのことだ。そればかりか、体内に溜まった毒素や老廃物を汗や尿の中に排出したり、自然治癒力を高めるのも酵素。まさに体内酵素は若さの素、命の素といえる。
しかし、体温が下がり体が冷えると、約3万種類とされる体内酵素の働きが一斉に弱ってしまう。米国の先端栄養学を研究する医学博士、エドワード・ハウエル氏は「酵素によって人間の生命が誕生し、体内酵素がなくなった時に人は死ぬ」とまで語っている。つまり、体内酵素の働きを高めたければ体を温めなければならないわけだ。
「体内酵素が最も活性化する温度帯が36℃〜40℃あたりですから、体を温めることで約3万種類の体内酵素が一斉に活動を始め、免疫力も当然上がります」(専門医)