心房細動は、心臓弁膜症や心筋梗塞、心筋症など心臓に病気がある場合のほか、ストレスや寝不足、お酒の飲みすぎなどで発症するといわれる。
それでは、心配な動悸はどうやって見分ければよいのだろうか。前出の真中院長はこう語る。
「息切れ、冷や汗、めまいなどをよく伴うなら、重い心臓病の可能性があります。ただし、これらの症状は心臓病の1つの目安にはなりますが、必ずしもそうした症状が現れるとは限りません」
健康な人を対象にした心電図検査で、60歳代で約20%、70歳代で約30%、80歳代で約40%に不整脈が見つかるという。高齢になると動脈硬化が進んでいることもある。
「高齢の方で、夏から秋にかけて動悸や息切れが気になったら、自分で判断せず、循環器内科で診察を受け、診断してもらいましょう」(同)
動悸を奇貨として、心臓病の有無をチェックした方がよいというのである。
異常を早期に発見するためには、脈を測るのを習慣づけるのもよい。動悸を感じなくても脈が乱れている人もいるという。真中院長が教える、正しい脈の計り方は次の通り。
(1)手のひらを上にして、手首のしわの辺りを確認する。
(2)しわの位置に薬指の先が当たるように、人差し指・中指・薬指の3本を置いて、脈が触れるところを探す。このとき、手首は伸ばしておく。
(3)15秒間測って脈が規則的なら問題ない。不規則なら1分間測り続ける。
脈拍も測れる血圧計を使用してもよいし、スマホで脈拍が測れる無料アプリを使う方法もあり、脈の動きがグラフに示されるものもある。
真中院長によると、心臓の健康のために、次に挙げるような心臓にやさしい生活を心がけるとよいという。
・規則正しい生活リズム
・週に3回程度の有酸素運動
・禁煙・節酒
・暴飲暴食をしない
・睡眠を十分にとる
・ストレスをためない
・食事は日本食がお勧め
さらに「動悸があったら静養し、脱水しないように水分の補給を」と、アドバイスしている。
なお、脈はストレスを感じただけで速くなるし、動悸がすることもある。自律神経のうちの交感神経が緊張するためである。自律神経を調節する方法に深呼吸があり、深呼吸は脈を整えるのに役立つ。
松永ひろきクリニック(東京都港区)の松永博喜院長は、脈を整える方法として歩行と心臓のリズムを同期させる歩き方を勧める。
「動悸はドクドクと感じられるので、二拍子と思われるかもしれませんが、心臓の拍動を表す心電図の波形を見ると、心臓の収縮・弛緩は、最初は収縮を示すP波で、それに続きさらに大きな収縮を示すQRS波が来ます。そして最後が、弛緩を示すT波です。だから、それに合わせて1、2、3と拍子をとって歩くと、そのリズムと心臓の拍動が同期し、不整脈が整脈になるという考え方ができます」
高齢になるほど、心臓は大事にしたいものだ。