A:唾液の分泌がよい人と悪い人を比べると、よい人のほうが風邪を引きにくいといえるでしょう。
なぜなら、唾液には抗ウイルス作用があるからです。唾液には、消化酵素のアミラーゼ以外に、IgAという免疫物質が含まれています。他にも抗菌作用があるラクトフェリンやリゾチームなどが含まれています。
風邪やインフルエンザはウイルスが原因の病気で、ウイルスは喉や鼻の粘膜に付着し感染を引き起こします。入り口は口と鼻。唾液には抗ウイルス作用があるので、唾液が正常に分泌されていれば感染しにくいのは当然でしょう。
唾液の出がよくない原因はさまざまありますが、ご質問の方の場合、精神的ストレスも関係しているかもしれません。
●思い当たる原因の改善を
唾液の分泌は、自律神経のうちで副交感神経の支配下にあります。副交感神経は、リラックスとしたときに優位に働きます。
一方、活動時に優位に働く自律神経が交感神経です。いつも仕事に追われ、イライラ、せかせかしていると、交感神経優位な状態が続き、唾液の分泌が低下します。
そのほか、日常的に口を開けたり半開きにしたりする癖があると、唾液の分泌は低下し、口の中が乾燥しやすくなります。食事については、よく噛んで食べると唾液の分泌が促進されます。この他、特定の病気が原因で唾液の分泌が少ない場合もあります。
よく知られているドライマウスは、唾液の分泌が減り口の中が乾いた状態になります。女性に多いのですが、その理由は女性ホルモンが関係するからです。
一般的に、齢をとると唾液の分泌は低下します。シェーグレン症候群という膠原病の一種の病気も唾液の分泌が低下します。
このように、唾液の分泌が減る原因はさまざまあります。ご質問の方も、思い当たる原因を改善するようにしたいものです。
なお、口を「イーッ」と横に広げるなど、口をいろいろな形に動かすことも唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。ぜひ試してみてください。
山田 晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、そのゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。