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逝去・藤本義一さんを襲った「中皮腫」を発症させる“今も身近にあるアスベスト”

 直木賞作家で脚本家の藤本義一さん(享年79)が10月30日、肺炎で亡くなった。エッセイストでタレントの妻・統紀子さんは、藤本さんが昨年春ごろから、肺の中皮腫を発症していたことを明かしたが、この病気は意外や身近なところに原因が存在するのだ。
 実は、中皮腫はアスベスト(石綿)が原因であることが多いのである。

 世田谷井上病院の井上毅一理事長がこう話す。
 「肺、心臓、腹部臓器などは、胸膜、心膜、腹膜などという膜に包まれおり、これらの表面を覆っているのが中皮です。この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といい、発生部位によって胸膜中皮腫、腹膜中皮腫などに分けられるのです。中皮腫の多くはアスベストが関与しており、空気中に飛散したものを吸い込むと、細かい繊維が中皮に刺さると考えられている。吸引時から20〜40年で発症するが、量が少なくても発症する厄介な病気なのです」

 実際、アスベストは今では「全面禁止」だが、'04年までに建てられた住宅には使われていないものはないといわれるほどなのだ。
 「危ないのは床材、壁紙、浴室の壁、タイルの接着剤、キッチンの吊戸棚、トイレのパッキンなど。また、石油ストーブの芯、魚を焼く網、トースターのコード、掃除機、エアコン、洗濯機のパッキン、ドライヤー、こたつ、火鉢などにも以前は使われ、ビルの機械室の天井や壁にも吹き付けてきたのです」(社会部記者)

 '04年前に建てられた駐車場や、解体した建物の廃材を材料とした再生砕石には、「ほぼ100%アスベストが含まれている」といわれ、これらは今も稼動しているのだ。
 もっとも、ここ最近の我が国においては、さらに恐ろしい事態が囁かれている。

 一昨年3月に起きた東日本大震災後、震災ボランティアが瓦礫の片づけに奔走したが、被災地には夥しい量の危険な廃材が山積していたのである。
 「瓦礫と化した建物や電源設備などは、まさにアスベストの山です。防塵マスクなどしっかりとした装備をしないと、数十年後、被災地やボランティアの間に中皮腫が大量発生する可能性もあるのです」(前出・社会部記者)

 アスベストの恐怖は、今後全国に広まりそうだ。

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