珍しく見どころが豊富だったこの春場所が始まる3日前、相撲協会は大阪市内で理事会を開き、平成25年の決算を承認した。それによると、本場所の観客増などによる収入が大幅に増え、約1億5300万円の黒字になったという。
相撲協会が黒字を計上するのは実に4年ぶりのことで、2年前は八百長問題で春場所が中止に追い込まれるなどして約48億8000万円、昨年度も観客動員数が伸び悩み10億7000万円もの赤字を出している。
「今回は稀勢の里の綱取り、さらに若い遠藤が出てきたことで、土俵は大いに盛り上がりましたからね。やっぱり日本人力士が活躍しないとフィーバーしないんです。それと円安が大きかった。相撲協会が持っている株などの金融資産の評価額が円安、株高の影響でアップし、約10億円も膨らんだそうで、もしこれがなかったら逆に9億円の赤字だったといいます。黒字に転じたといっても、まだ厳しい状況に変わりはありません」(担当記者)
これからも経費削減を進めるなど、一層の経営努力を求められることになりそうだが、気になるのはそれだけではない。観客増に貢献した日本人力士の活躍に陰りが垣間見えるからだ。
「特に、人気は既に横綱級の遠藤が厳しい。場所前の出稽古でコテンパンにのされていましたが、案の定、序盤から連敗。いずれもモンゴル力士が相手です。この結果はストレートに人気に影響しそうで、また赤字に転落する恐れは十分にありますね」(協会関係者)
日本人力士の活躍を切に願っているのは、相撲ファンだけではない。