A:風邪、喉の痛み、朝起きたときの口の乾き、首や肩のこり、片頭痛ときたら、上咽頭炎が疑われます。上咽頭は喉の一部分です。鼻の後方から軟口蓋(のどちんこ)までを上咽頭と言い、軟口蓋から喉頭蓋までを中咽頭、ここから下の食道入り口部までを下咽頭と言います。
ウイルスや細菌の感染によって咽頭全体に炎症が起きた場合を急性咽頭炎と言います。一方、同様に感染し、上咽頭に限って炎症が起きている場合を急性上咽頭炎症と言います。
この上咽頭には、ウイルスや細菌が慢性的に巣くう場合があり、それを病巣感染症と言います。病巣感染症があると、風邪をひきやすいし、咳ぜんそくや気管支炎を起こすこともあります。
膠原病などの自己免疫疾患の原因になっていることもあります。加えて、全身のさまざまな病気を引き起こします。
ご質問の方の場合も、首や肩のこり、偏頭痛を伴っているとのことですが、これらは上咽頭炎の関連症状として表れているのでしょう。実際、そういうケースがよくあります。
●喉の擦過治療と鼻うがい
慢性の上咽頭炎は、上咽頭擦過という、塩化亜鉛を上咽頭に塗布する治療を継続して行うことによって改善してきます。
ただし、この慢性上咽頭炎症が全身のさまざまな病気を引き起こすことは、医師にもあまり知られていません。そのため、この治療を行っている医師が少ないことが欠点です。もし「塩化亜鉛治療」を希望するなら、耳鼻咽喉科の医院をあたってみてください。
また、自分できる方法に「鼻うがい」があります。鼻うがいは生理食塩水を使って鼻を洗浄する方法です。水100ccに食塩を1グラム溶かしたものを作ります。
スポイトを使って、この生理食塩水を2〜4ccずつ、左右の鼻に入れます。口から出すのは難しいですし、飲み込んでもかまいません。この方法を1日に3回程度行いましょう。
ちなみに、耳の後方にある乳様突起(耳裏の骨の突起)を押してみてください。押して痛むときは上咽頭炎の疑いがあります。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。