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226/515/911/114 日付から見る尖閣問題

 自民党の谷垣総裁は11月14日の講演で、神戸海上保安庁の主任航海士による尖閣諸島沖衝突ビデオ流出に「二・二六事件」を関連付け、菅政権の失策を批判したそうである。「二・二六事件」は、昭和11年2月26日に陸軍の青年将校らがクーデターを企て、未遂に終わったもの。そのきっかけになったのは海軍将校らが犬飼毅首相を暗殺した「五・一五事件」で、嘆願運動により「五・一五事件」犯人の量刑が軽かったことから「二・二六事件」につながったとされている。それを受け、寛大な措置をとれば更に規律が乱れるということのようだが、現時点で主任航海士の逮捕は見送られている。

 命がけで国を守る海上保安官や自衛隊員は、愛国心なくては務まらない職業である。ビデオ公開の是非が審議されていた頃、東京都内で数千人規模の反中デモの指揮をとっていた民間団体「頑張れ日本!全国行動委員会」代表・田母神俊雄さんは、自衛隊の元航空幕僚長。13日には神奈川県横浜市で開催されているAPEC首脳会議に合わせ4,000人規模のデモを率いた。このように憂国の士による決起が盛んだが、ビデオ流出にしろデモにしろ、軍事的クーデターのように血を流す類のものではない。あくまで平和的な手法に則って行われている限り、頭ごなしに締め付けていいものかは疑問だ。

 「二・二六事件」や「五・一五事件」になぞらえれば、11月4日に投稿されたビデオ流出は「一一・四事件」になる。その日が何の日なのか気になって確認してみたら、大正10年に原敬首相暗殺事件が起きた日だった。これは軍人絡みではなく、犯人の中岡艮一(なかおか・こんいち)は山手線の駅夫見習い。親戚に政治家もいたそうだが、今でいうフリーターみたいな感じだった。彼の尊敬する上司が「政治家は反省する時に腹を切ると言ったりするが、本当に腹を切る武士道精神を持っていない」というようなことを漏らした際に「腹を切る=原を斬る」と勘違いして凶行に及んだとされている。彼は無期懲役となったが恩赦で出獄し、神戸でムスリム(イスラム教徒)になったらしいが、没年は不明。皮肉にもここで神戸が出てくる。

 またムスリムといえば「9・11同時多発テロ」はイスラム原理主義グループ「アルカイダ」によるものとされていたが、アメリカ国内ではそれ以外の政財界と癒着した陰謀論だったと考える国民も多いとか。そしてそれが政権交替にも影響していたようだが、2008年11月4日は大統領選挙でオバマ氏が選ばれた日でもあった。しかも1980年11月4日にはレーガンが当選していた。レーガンが日本に公式訪問したのは3回で、歴代アメリカ大統領として最多だそうである。APECでの来日に際し、子供の頃に来た鎌倉の寺院を再訪するなど親日派にも思えるオバマ大統領だが、果たして今後レーガンの記録を超えるかどうか。それは日本政府の対応次第だろう。日米の協力関係なくして領土問題の解決は難しいようにも思える。航海士がビデオ流出をするに辺りこの日を選んだのが偶然であったとしても、この符号には考えさせられるところがある。(工藤伸一)

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