ただ、一般的な医療機関でこの治療を受ける場合、公的な医療保険が適用されても1回約2万円近くかかり、効き目も2〜3カ月ほどで切れてしまう。
結果的に重症に陥った場合、「皮膚や筋肉を切り取ったり、顔面の神経を切断する手術を行うケースがある」(専門医)といわれる。だが、基本的にはボツリヌス治療と、必要に応じて抗痙攣薬などの飲み薬を組み合わせる療法が優先されている。
では、こうした病気から目をいかに守るか。最近、自己予防手段の一つとして考えられているのが、痙攣を誘発しやすい短い波長の光を遮る眼鏡の使用が効果的といわれ、専門店などで販売されている。他にも瞼を開けやすくするピンが付いた特殊なメガネも販売されているが、こちらは医師の処方箋が必要な場合もある。
また、「眼瞼痙攣自己診断」を提唱する専門医もいる。
神奈川・望月眼科医院の望月圭一郎院長もその一人で、次のようなチェックポイントを挙げているので参考にしよう。
(1)まばたきが多い。
(2)外出時、または室内でも眩しさを感じ目を開けていられない、目をつぶっていたい。
(3)目が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも目が気になる。
(4)電柱や立木、車などにぶつかったことがある。
(5)太陽や風、階段の昇降が苦手になり、外出を控えている。
(6)手を使って目を開けなければならない時がある。
(7)意識しないのに片目を瞑ってしまう。
以上の中で、該当する項目が0なら正常。1〜2個は『眼瞼痙攣』の疑い、3個以上なら『眼瞼痙攣』の可能性が高い。
また、日常生活で気を付けるべき点は次の通り。
(1)パソコン、テレビはほどほどに…画面を長時間見続ける生活は、目の疲れやドライアイ、視力低下を招く。2時間見たら、15分程度の休憩を。
(2)毎日十分な睡眠…体と同様に目もしっかり休ませる。
(3)定期的に視力検査を…気付かぬうちに視力が落ちていることもある。視力に合っていないメガネやコンタクトレンズの使用は、目に負担が掛かる。
(4)コンタクトレンズの使用に注意…メーカーの指示を超えて長時間連続装着したり、洗浄などのケアを怠ると目に深刻なトラブルを招くことも。
「一般的に、目のトラブルの多くは、疲れやストレスが引き金になっています。『眼瞼痙攣』などの病気を防ぐには、ちょっとしたことに気を配り、目をいたわることから始めないといけません」(前出・望月院長)
たかが“瞼のピクピク”と放っておくと、深刻な事態を招く。
治療費には二の足を踏みそうだが、ともあれ異常を感じたら医師に診てもらおう。