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話題の1冊 著者インタビュー 多田文明 『あやしい求人広告、応募したらこうなった。』 イースト・プレス 667円(本体価格)

 −−ブラック企業だけでなく、いわゆる“ブラックアルバイト”も問題となっています。

 多田 最近は「貴金属を買い取ります」と各家庭を訪問して強引に安値で買いたたく被害が起こっており、この種の業者がたびたび行政処分を受けています。これらの業者は売り上げを伸ばすために「未経験でも可」と間口を広げて募集し、スタッフを次々に送り出しています。また詐欺業者が嘘の求人を出して求職者を呼び込むこともあります。求人サイトの中には、募集内容をほとんど審査なく載せる所もありますから、応募の際には注意が必要です。

 −−さまざまな仕事体験がつづられていますが、一番ヤバかったのは何ですか?

 多田 チラシ会社の面接を受けたとき、面接官の女性が私に「ヤル気がある人を採用します。どんなチラシでも配れますか?」と尋ねてきました。私が「はい」と答えると、女性は「合格です」と言い「これからこのチラシを配ってください」と、チラシの束を渡してきました。それは風俗系のピンクチラシでした。求人情報ではわかりませんでしたが、この会社、いかがわしいチラシを扱っている所だったのです。場所によっては風俗系のチラシを配れば迷惑防止条例違反になる可能性もあるので、このようなときは登録を破棄してすぐに帰ることですね。

 −−怪しい求人にだまされないための心得を教えて下さい。

 多田 求職中は焦りから募集要項をよく読まない人がいますが、だまされないためには“情報を読み取る目”が必要です。気を付けたいのが「基本給+歩合制」で「月給100万円以上は可能」と高収入をうたいながら、業務内容がハッキリと書かれていない求人広告です。中には違法行為をさせることもあるため、求人内容をぼかすケースもありますので、しっかりと電話などで業務内容を確認することが必要です。そして、実際に面接を受けてみて、もし求人情報に食い違いがあれば、断って帰る勇気も必要です。一つの嘘をつく業者は、次の嘘をつく可能性がありますから。
 最近は訪問販売などを規制する法律(特定商取引法)による摘発も多くなっています。万が一“ブラック企業”で働いて逮捕されるような目に遭わないためにも、求人内容のハッキリしないものは回避した方が無難ですね。過去には、履歴書を送らせ相手の個人情報を取得した上で「お前の住所、電話はわかっている」と脅し口調で、仕事を始める前に高額な登録料を支払わせていた業者もいます。
(聞き手:程原ケン)

多田文明(ただ ふみあき)
1965年、北海道生まれ。ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。キャッチセールスなどへの潜入は100カ所以上。ネットを通じたサイドビジネスに精通する。

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