A:アトピー性皮膚炎は、体質的な素因が基盤としてあり、それにホコリ、ダニ、花粉、食事、ストレスなど、なんらかの環境要因が加わって発症すると考えられています。要因は単一ではなく、複合的に作用すると見られています。
現代医学では、ステロイド軟膏などの外用薬と内服の抗アレルギー薬を併用するのが一般的です。そして、現代医学では、アトピーは治すのではなく上手につき合っていくものとの考えに立っています。
ところが、漢方は効き目は非常にすぐれていて、初期の軽度の段階で漢方薬を服用すると、きれいに治ることもあります。
漢方では、アトピー性皮膚炎の病態を、血熱、つまり、血の中に熱を持った状態と考えています。血熱に対処する漢方薬の代表的なものに、加味逍遥散と黄連解毒湯があります。
この二つの漢方薬で、アトピーの患者さんの大半に対応できます。
他には、特に手足に湿疹が出たり、手の指に水疱ができているタイプには、前出の二つの漢方薬のどちらかに防已黄耆湯を合わせて使うと効果的です。
また、主に顔に湿疹が出ている場合は越脾加朮湯が適用になり、前記の二つの漢方薬のうちのどちらかと併用します。そして、現代医学の外用薬と併用します。主にステロイド剤の弱いのと、非ステロイド系の軟膏を混ぜて、塗り薬として使ってもらいます。
このように、漢方薬と現代医学の外用薬を巧みに併用することによって、症状は次第におさまってきます。軽くなれば、ステロイドの外用薬はやめていただきます。
ご質問の方は、肉や脂っぽい食事が多いとのことですが、これらや乳製品はアトピーの症状を悪化させる要因の一つです。摂り過ぎないようにしてください。ケーキは甘く脂っぽいですが、ケーキを食べるとアトピーが悪化するという患者さんはよくいます。
また、ストレスを溜めないようにし、規則正しい生活を心掛けましょう。
興津寛氏(アストラル八幡クリニック院長)
統合医療の名医。熊本大学医学部卒業。東京医科大学形成外科、帝京大学溝口病院皮膚科、中国での漢方研修を経て日本医科大学東洋医学科にて臨床を実践。現在、アストラル八幡クリニック(千葉県市川市)院長。