リオデジャネイロ五輪・女子レスリング58キロ級を制した伊調馨(33)がギネス世界記録に認定された。'04年のアテネ五輪からの4連覇の偉業が認められたわけだが、次のステージとなる東京五輪のレスリング種目に異変が起きていた。
「リオ大会までレスリングは344選手が出場していましたが、東京大会からは288人に削減されることが決まったのです。国際オリンピック委員会の臨時理事会で決まったのですが、日本側はその動きを全く知らず、まさに寝耳に水。しかも、日本選手に対して、ホスト国のアドバンテージである本大会出場への優先権を認めないというのです」(体協詰め記者)
この情報がレスリング関係者に届いたのは、明治杯全日本選抜レスリング選手権(6月18日)の直前。大会中、男女主要選手は「勝てばいい」と淡々としていたが、実際は違った。
「レスリングはフリー、グレコローマン、女子の3スタイルがあり、体重別の階級が設けられている。ところが、国際的な関心が薄いことから、過去には正式種目からの除外も検討されたことがあり、五輪がTV放映権料と企業協賛で成り立っている以上、置かれている立場は厳しいんです。それでも日本は、ホスト国の出場枠について1人でも多く設けてもらうつもりです」(スポーツ紙記者)
出場枠でトバッチリを食らいそうなのが女子だ。もう1人の金看板、吉田沙保里は代表コーチに就任しており、セミリタイア状態。
「しかし、吉田は目を掛けている若手が何人かいて、その選手を推したい。対する伊調もギネス授与式で東京五輪のことを聞かれ、『誰が私のスイッチを押すのか…』と去就を曖昧にしている。伊調のスイッチが入るのなら、何とかしてやりたいというのが協会の総意ですが、世界大会に出ていないためにホスト国のアドバンテージを使うしかない。つまり、吉田の教え子と伊調が五輪の“椅子”を争うことになるわけです」(前出・体協詰め記者)
以前、この2人は2回戦っている。階級が違うので一概には言えないが、いずれも吉田が勝利している。東京五輪出場をタックルしてフォール出来るのは果たしてどっち? 場外バトルが始まった。