A:石鹸の泡を付けたままにしておくと、どうなるでしょうか。洗顔後にしっかり石鹸を流し落とさないと、その部分が痒くなるのは、誰もが経験したことがあるでしょう。ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、歯磨き粉などでも同じです。歯磨き粉を使って歯を磨いた後にオレンジジュースを飲むと、変な味になります。
これは、歯磨き粉の中の成分が口の中の粘膜を障害しているからなのです。
ハンドソープを皮膚に接触させて、皮膚の表面がどのように変化していくかを調べた実験があります。接触前、接触1分後、5分後、13分後、45分後の状態を顕微鏡で観察したのですが、時間が経つにつれて次第に皮膚のシワがなくなっていっていきます。
ハンドソープやボディソープ、歯磨き剤にも、安価なものには合成界面活性剤が使われており、これにより表皮が溶かされていると考えられます。ハンドソープなどで頻繁に手洗いをした場合、皮膚ではこのような変化が起こっているのです。
合成界面活性剤をはじめ、皮膚から入る化学物質による健康被害のことを経皮毒といいます。
●よく洗い流すのが基本
シャンプーを頻繁に使っている美容師、理容師は、このような現象が常時皮膚に起きている可能性があります。たびたび手洗いをしている看護師などの医療関係者も、同じような状態になっていると考えられます。
これを防ぐには、石鹸が接触する時間を短くすることが基本です。シャンプーで洗う時間は1分以内にするなど洗髪時間を短くし、洗髪後は念入りに髪をすすぎます。また、歯磨き粉を使用した後は念入りに口の中をすすぐとよいでしょう。
しかし、シャワーで洗い流すだけでは、洗い残しの部分があり、界面活性剤は十分には取りにくいでしょう。
そのため、石鹸で体を洗った後は、必ず湯舟に浸かって、皮膚表面に残っている石鹸(界面活性剤)をしっかり落とすべきです。湯舟に浸かると毛穴が開き、汗がでると取れやすいのです。
ですから、経皮毒のことに気を配るなら、お風呂の時間はシャワーだけにするより、湯舟に浸かったほうがよいでしょう。
経皮毒は皮膚のアレルギーや免疫疾患を引き起こします。以上のような対策を講じるようお勧めします。
首藤紳介氏(表参道首藤クリニック院長)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院、湯島清水坂クリニック等の勤務を経て、表参道首藤クリニック院長。自然療法や代替医療をはじめ、水素温熱免疫療法や再生医療(臍帯血幹細胞治療)などの高度先進医療を実践。